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思いこんだら

作者: 雷鳥文庫

うちの国の第二王子様は超マザコンである。

五年前十二歳の時の反抗期の時、第三王子の母

(側妃)による刺客から王妃さまが身をていして

守られてから。


それまで目に付くもの全部敵!だった世をひねた少年が、

母上だけは私の味方!母の愛サイコー!

になったのだ。


仲良きことは美しきかな。

品行方正、良い子のマザコンが爆誕である。


さて、先月。

私時々古傷が痛みますの。早く孫の顔がみたいわー。

と王妃さまはおっしゃった。


第二王子という気楽さで身分はそんなに厳しくいわないわ。貴族なら誰でもいいわよ。

学生結婚もOKよ。


それで今週から学園の婚約者がいない貴族子女が総当たりで見合いをすることとなった。


迷惑である。

私はしがない男爵令嬢なんで、記念受験にしかならないし、

よくある話で申し訳ないが

前世日本人である。

五十代まで生きてた記憶がある。多分事故にあった。

子供も成人した立派なおばさんであった。

王子様になんかちっとも興味ない。現実はお妃さまはとても大変だとわかっている。


気楽に生きて行きたいのだ。


さて、私の面談表は三日目の3人目だ。

コレでわかってしまった。消化試合だと。


子供たちの学校の面談で、

問題ありません、そちらから何かありますか?

ありませんか、そうですか。

と言う感じで五分かそこらでおわるタイプだ。


本当に問題ある家庭には最後の時間にじっくりと話をする。

おお、各日の最終お見合いには、

本命がズラリとならんでいる。


超美人のヴィヴィアンナ様。

王子と幼馴染の微笑みの姫と呼ばれるカレーヌ様。

才女のエリーフラワー様。


早々と決めて欲しいものだ。


さて、お見合い当日が来た。同じ消化試合仲間から

ある程度の情報が流れている。

部屋には王妃さまが椅子に座ってらして、

第二王子様リードさまがかいがいしく世話をなさっている。


そして二つの質問が王妃さまから出される。

それをリードさまはニコニコして見てるだけだ。


やっぱりただの面談じゃないか。

クラスメイトは王子様の華のかんばせに

素敵だったわー、と目がハートになっていた。

あと待合室のお菓子が美味しいと。

(王室御用達の高級菓子には興味ある。)


質問はこの二つである。

◎あなたはリード王子様をどう思いますか。

◎あなたはリード王子様を身をていして守れますか。


とりあえずサクッとほめて終わらせよう。

守れないなんて言えないでしょ、相手はえらいえらい王族なんだから。


さあ、いざ消化試合へ。



「モルドール男爵家、三女のレイカでございます。」

おいなんだ。このゆるさは。

王子様あくびを噛み殺してるぞ。

お互いやっつけ仕事感満載だ。

「そちらへかけて。」

王妃様のロイヤルな微笑みにうながされて

お見合いという名前の面接が始まった。

「あなたはこのリードをどう思う?」

「はい。学年も違いますので交流はございませんが、溢れる才能をお持ちなのに更に努力をかかさない、立派な方だと思いました。」

「例えば?」

「図書館の窓から時々、リード様が

重いこんだらを引いて、筋トレされているのが

見えますので。」


「こんだら?」


「はい。重いこんだらを。夕陽に映えて絵のようでした。」


「…あなたはリードの為に命をかけられるかしら?」


「ハイ、デキルダケノコトヲイタシマス。(棒読み)」


よし、終わった!


にこやかな顔の侍従と思われる人が

「お疲れ様でした。どうぞこちらへ。」


別室に案内された。


「こちらのアンケートをお書きになったらお帰りになって結構です。内容は秘密でお願いします。」


あれ、アンケートなんか聞いてなかったぞ?


「なんでもいいので直感でお書きください。

みなさまご記入いただいてます」

なるほど。




連想する言葉をカッコに記入して下さい。


◎アベノミクス(        )


◎アベノマスク(        )


◎あべのハルカス(        )


…うん?


次は人名か。


◎安倍晴明(       )


◎ひろし  (      )  


とりあえず埋める




◎アベノミクス(   政治     ) 


◎アベノマスク(    2枚    )


◎あべのハルカス(    大阪    )


◎安倍晴明(セイメイかハルアキラかどっち?)


◎ひろし (ソロキャンプ)


提出して帰宅した。




次の日即行呼び出された。朝イチで王妃様に。


開口一番。


「あなた、前世日本人ね!」

「あっ、ハイ」


あんなアンケートをするからには王妃様もそうなんだろう。

それにアンケートが用意されてるからには、前世日本人が多いんだろう。

それが帰宅して私が出した結論だ。


「探してたのー!ワタシと同じ前世日本人!」

「エッ、他の人は書かなかったんですか?」

「あのアンケートを書いたのは、あ、な、た、だ、け。」

あれ?全員書いたと言ったのは?

侍従さんを見ると目をそらされた。


「母上と同郷だそうだね?こんな嬉しそうな母上を見るのは久しぶりだ。」


「アレをこんだらというのは、ある年代の日本人だけよ。」


それで別室でご案内からのアンケート。


そこからあれはこんだらではなくて、筋トレではなくてグラウンドの整地をしてたのだと。


「こんだらではなかったのですか?」


「ええ、思いこんでいたのね。」


それから王妃様は朗朗とジャイアンな星のテーマソングを歌いあげられた。

そして落涙なさりながら、ティアラを投げ捨てて

抱きついてこられた。


なんだろう。私のまぶたも熱くなってきた。

どんといけ。


それで結局。

王妃様の話し相手兼侍女となることとなった。


ええ、王子様のお相手ではなくね。


ある日質問してみた。

「王妃様は前世、あべさんだったのですか?」

「ええ、旧姓だけど。よくわかったわね?」


あれだけ阿部安倍言っといて。


「ところで、ひろしといえば阿部寛でしょ?

あれはサービス問題だったのよ??」


そうだったのか。


「いえ、以前ヨコスカでお笑いライブを見まして。」


「何それ、逆にうらやましい。」


こうして日々は平和に過ぎていく。

思いこんだらの後

思いこんだらの後のあと(連載)

という続編あります。

よろしくお願いします。

※思い込んだらの後の後は

グランディ王国物語に改名しました。(連載は完結しました。)

続 グランディ王国物語(連載)もよろしくお願いします。(完結しました。)


スピンオフで、「ずっとあなたが好きでした。だけど、卒業式の日にお別れですか。」もあります。

完結してます。宜しくお願いします。



更に、ブルーウォーター公国物語に続きます。

肩の力を抜いて昭和ネタにひたれます。


宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
素敵な作品をありがとうございます! 大人になるまでずっと「重いコンダラ」だと思い込んでいたのでツボに入って笑ってしまいました。 続くお話もワクワクしながら読ませていただきますね!
「ずっとあなたが好きでした。だけど」読了後、こちらにやってきました。 いや、こんな出会いが!笑ってしまった。 「こんだら」って何?と思ったけどジャイアンな歌のせいか。 アンケートに私ならなんと書くか、…
サクッと読めて面白かったです。 因みに私は[ひろし]は『猫ひろし』しか思いつかなかったですwww
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