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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
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26.再会

 レイたちはライバ領を目指して歩いていた。奴隷にした直後の元村人は体力が無いため

その歩調に合わせる。子供たちは出来る限りマールと一緒に馬車に乗ってもらっていた。

本来の目的を忘れそうなくらい楽しい旅だ。

タックとフクンに食材や金目の素材の場所を教えてもらい、採取しながら歩いていく。

「もうすぐライバ領に入りますね。」

トムがキッコンからもらった地図を見ながら言った。

噂ではライバ領は独特の領らしい。領主はとても個性的だと言われている。

「ここらで一旦休憩するか。」

「そうですね。」

 広い空き地を見つけ、最後尾を歩くスミスを待つ。

奴隷たちが食事の準備をする間、レイとトムは適当な岩に座り待っていた。

するとすぐ脇の森からガサガサと音がする。

 2人は静かに武器を構えた。

「もしかして…レイ?」

森の中からか細い女の声がする。どこかで聞いたことのある懐かしい声だ。

「…レシーアか。」

Aランクパーティーであるロックウッドの魔法使いレシーアだ。

ガサゴソと森の中から出てきたレシーアは薄汚れ、やつれていた。

「本当?」

レシーアの後ろから別の女の声がする。見るとロックウッドの斥候ミナだった。

ミナも薄汚れ、やつれていた。

「どうした?」

レイが驚いて駆け寄る。

「取り合えずこちらへ、飯を。」

トムは2人を休憩地へと誘うが、近寄ろうとはしない。

「ごめん。皆に見られたくないから。」

ミナがか細い声で言う。

トムは休憩地へ戻り、しばらくして2つのお椀にパン粥をたっぷり入れて持ってきた。

パンはレイたちにとって高級品だが、衰弱した2人にはその方が良いと判断したのだろう。

2人は少しずつ口に粥を運んでいる。

食べ終わったのを見計らって、レイが尋ねた。

「どうした。何があった。」

2人は顔を見合わせていたが、レシーアがポツリポツリと話し始めた。

オーク戦の後咎人となったロックウッドは、アッカディー王国に逃亡しようとしていた。

しかしアウドの町手前で、結成された討伐隊に捕縛されそうになったという。

「他の皆は。ロックさんたちは。」

レイは残る3人の安否を気遣う。

「私たちを先に逃がして。逃げてくれって言われて。捕まったと思う。」

ミナが俯きながら言った。

「でもあの3人を捕まえられるほどの奴は騎士団いない…。」

トムが言いかけると、

「違うの。討伐隊、ドインがいた。」

「ドイン。」

ドインは魔族領に接する地の大領主だ。

他の大領主と違い、自ら槍を持ち魔族と戦っている。

Aランクといえども、ドインには勝てないだろうとミナは話した。

「まさか。」

最悪の事態がレイの頭をよぎる。以前の町でさらし首になった盗賊たちの光景を思い出した。

「ううん。ドインなら。たぶん。生きてる。」

ドインは昔気質の男で、恩を仇で返すことはしないそうだ。魔族との戦いで何度も救援に駆け付けたロックウッドの面々を死罪にはしないだろうとレシーアは考えていた。

「でも犯罪奴隷にはなってると思う。」

2人は俯いていた。前の自信に満ち溢れた雰囲気は全くなかった。

レイとトムは顔を見合わせて考え込んだ。この後どうしようと。

「お願いがあるの。」

レシーアがふいに言った。

「私たちをライバ領に連れてって。」

「ライバ領主とは仲良いし。悪いようにはしないと思う。」

「そうですね。行き先一緒ですし。」

「そうだな。行こう。」

 レシーアとミナもレイたち一行に加わることになった。

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