24.食事会
「豪勢な食事はないですが、是非食べてください。」
焼いたユジュカウに三日菜とトマトがたっぷり入ったスープ、練った芋を蒸したものが目の前に並べられていく。食後のデザートにと、熟した野ブドウも用意している。
レイたちの旅団は100人を超えるため、食料は出来る限り自分たちで調達している。
パンは高級品だ。野生の芋を練ったものが主食となる。肉や魚も道すがら狩りで捕っている。
そのため野性味あふれる食事となっている。
村長たちは最初食事に手を付けるのを躊躇していたが、子供たちが遠慮なくガッツいていく姿を見て、恐る恐る食べ始めた。
最初は少しずつゆっくりだったが、段々と食べるスピードが速くなり、最後は大人も子供も飲み込むように食事をしている。
大分腹が減っていたのだろう。スープを最後の一滴まで飲み干している。
「スープと芋お代わりあります。どうですか。」
「…ありがとうございます。」
次々とお代わりしていく。
レイたちも奴隷たちと一緒に食べ始めた。
見張りをしている数人を残して、全員で一斉に食事をとる。
スープの給仕をした男の奴隷紋を見て、村長は驚いたようだ。
「ここにいる皆さん、奴隷なんですか。」
小声でレイに尋ねる。
「この3人を除いて全員そうです。」
「あの子供やお婆さんも?」
「そうです。」
「あそこにいる立派な装備の人も。腕無いですが。」
「そうですよ。魔物が出たら戦ってもらってますし。」
「でも戦ってるの、ほとんどレイさんですけど。」
「…。」
チルが会話に口を挟んできた。
余計な事言うなとレイがチルの頭をグリグリし、2人は笑いあっている。
チルの首元にももちろん奴隷紋があった。
2人の様子を見ながら村長はしばらくの間、黙って座っていた。
その様子を見ていた村人が、横に座っていた奴隷に何か聞いている。
そのうちに食事が終わり、村人たちが口々に礼を言い、帰り支度をしている。
暗くなって危ないからとレイとトムは村人たちを送り、野営地へと戻ってきた。
「じゃ、風呂入って寝るか。」
「そうですね。」
2人は風呂に入った後、見張りから戻り遅い食事にありついていた奴隷に「おやすみ。」と言い、レイとトムは眠りについた。
その頃村では、村長の家に村人たち全員が集まって、何やら夜更けまで話していた。




