21.別れ
「じゃあな。元気でいろよ。」
「色々ありがとうございました。」
「また会うことがあったら美味い酒飲もう。」
「約束ですよ。」
レイとセインが固い握手を交わす。
セイクルズの4人に入国の許可が下りた。ここでお別れだ。
オーク討伐で出会ってから2か月弱だが、とても名残惜しく思う。
別れ際、セインがレイに真剣な顔で話し始めた。
「レイ。」
「はい。」
「言っとくぞ。自分のスキルや強さに頼りすぎるな。」
「はい。」
「あと、情報は冒険者の命だ。」
セインはいつもとは違う真剣な表情だ。
「タリカの時もそうだが。相手を知らずにいると痛い目見る。自分がどんな相手と対峙しているか、事前に出来る限り情報を集めろ。斥候がいれば良いが、いなかったら情報屋から金で聞いても良い。酒場で他の冒険者と情報をやり取りすんのも良い。お前に足りないのはそれだ。」
「…はい。」
「じゃ、行くからな。」
セイクルズの4人は大きく手を振り、砦の向こうへと駆けて行った。
「我々も行きましょうか。」
トムに促され、マールたちの待つアウドの町近くの野営地へと戻っていく。
旅の準備を整えて、レイたちは砦の方に向かって大きく手を振った。
その様子を望遠鏡で見ていたタリカは、部下に後ろから小突かれる。
「仕事あるんですからサボらないでくださいよ。」
「もう。分かってるよ。」
「気持ちの良い青年たちでしたね。」
部下が目を細めて言う。
「なんか深い闇があるようだが、悪い奴ではなかったな。」
「また会えますかね。」
「うちに来ないか誘っておいた。」
「噓でしょ。なんて残酷なことを。」
「彼たちなら大丈夫でしょ。っていうか、彼たちならやってくれる気がする。」
タリカは再びニッコリと笑ったが、早う仕事しろと部下に腕を引っ張られ、スゴスゴと仕事に戻っていた。




