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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
88/421

20.尋問

「何で探してるの。」

険しい顔つきのままタリカが尋ねる。

言おうかどうか迷っているレイがトムを見た。トムは首を横に振る。

だがセインは2人の方を向いて言った。

「正直に言った方が良いよ。見抜かれる。でしょ?」

「そうだね。よく知ってる。」

「情報も冒険者の武器だからね。」

2人のやり取りを聞いて、レイはタリカも何らかの鑑定スキル持ちだと推測した。

そうすると嘘をついたり隠したりするよりは、正直に言った方が良い。

「ちょっとセイン君、席外してくれないかな。あとお前たちも。」

タリカがセイクルズと側近の者たちを外に出し、部屋の中は3人だけになった。

タリカはレイをじっと見つめて言った。

「さあ。3人だけになった。話して。」

観念したようにレイは少し息を吐くと、話始めた。

「俺も一緒に召喚されたんです。」

「そうなんだ。」

「でも才能が無いからと、トムと一緒に追い出されました。」

「トム君は木こりじゃないの。」

「元は兵士です。」

トムも話に加わる。

「前世で3人に殺されまして。」

「…。」

「決着を付けようと探しています。」

「…。」

タリカの顔は険しいままだ。腕組みをしながらレイに言う。

「復讐とは穏やかじゃないね。」

「はい。」

「その手伝いをしろということかい。」

「いえ。自分1人で決着付けます。居場所さえ分かれば。」

「トム君は止めないの。」

「自分の村がオークの集団に襲われました。」

「うん。話には聞いてる。」

「それも勇者たちが原因です。」

「…。」

「自分もレイと一緒で、勇者と、あとあの国に恨みがあります。」

「それで止めずにけしかけてるのかい。」

「いえ、けしかけてません。一緒に。レイと一緒に決着付けます。恩人を亡くしましたから。」

トムの決意を初めて聞いて、レイは驚いた。

トムは誰とでもすぐに打ち解けて人当たりが良い。

てっきり自分に同情して話を合わせているだけかと思っていた。

レイは思わずトムの方を見ていたが、トムは真っすぐタリカを見つめている。

タリカは交互に2人を見て少し考えていたが、ようやく話し始めた。

「嘘は言ってないようだね。何かまだ隠しているようだが。まあいい。情報は無いね。他の国の勇者を入国させたら大問題だよ。これからも入らせる気は無いね。」

タリカの話を聞いて、2人はがっかりしたようだ。

「まあ、気落ちするな。僕の考えだとまだシュミム王国にいるよ。王都か4大領主の所だね。」

「そうなんですか。じゃあもしかしたらアウドの町に。」

「は、ないね。アウドの女狐がそんな面倒くさくて金にならないことしないよ。」

タリカはアウド領主を女狐呼ばわりする。

「情報が隠されてんなら、のこる3人の領主の所か王城か。直接匿われてると思うよ。」

その言葉にレイとトムは顔を見合わせた。

次の行き先が決まったようだ。

2人に気を遣うことなくタリカは話続ける。

「でもって、なんか困ったことあったら、うちにおいで。直ぐに僕の町に住めるから。」

タリカはレイとトムを見て、ニッコリと笑った。

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