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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
81/421

13.約束

 取り調べから2時間ほど後、盗賊たちの刑罰が決まった。ジャミと雑用係の男を除いて全員斬首刑となった。

既に死亡している盗賊も含めて、その後さらし首にするという。

ジャミと雑用係の男は犯罪奴隷落ちとなった。

「随分早いな。」

レイは対応の早さに驚く。

「珍しいことじゃないよ。証拠もあったし。保護した人たちの証言もあるし。」

セインは事もなげに言う。

レイたちは刑罰の内容を聞いた後、町の外に出てトムと合流した。

レイが土魔法で作った建物の中で待っていたトムは、レイたちのもとに駆け寄る。

「どうでしたか。」

「話、終わったよ。褒賞金が出るそうだから、それまで待機だ。」

「そうですか。宿に泊まりますか。」

「いや。ここで寝る。」

「じゃ、自分も一緒に。」

「マールさんがいるだろう。」

「大丈夫ですよ。スミスさんも宿に泊まるっていうし。」

「すまねえ。ちょっと疲れてな。仕事しすぎた。」

スミスが会話に加わる。

褒賞金が出るまでの間、セイクルズのメンバーとポッタ、マールとスミスが宿に泊まることになった。

レイとトム、猫たちは奴隷たちと共に町の外で何日かを過ごす予定だ。

 マールとスミスに買い出しと素材の換金を頼み、久しぶりにレイとトムで過ごす静かな夜になった。

トムがニッコリ笑いながらレイに近づいて、懐から酒を取り出した。

「婆ちゃんからこっそり盗んできました」

「またか。また俺まで飛び蹴りされる。」

「いいじゃないっすか。飲んだら罪は一緒です。」

 コップに酒を注いで、2人は喉を潤した。

前に飲んだものほどではないが、香りが強く軽い飲み口の酒だった。

「いくらでも飲めるな。」

「そうでしょ。」

 奴隷たちも寝静まり、タックとフクンも寝息をたてていた。

ゆっくりと酒を飲みながら、2人は星空を見上げている。

「レイさん。」

「おう。」

「自分はレイさんを、絶対裏切りません。」

星空を見つめながら、トムは話を続ける。

「この先何があっても。離れることがあっても。あなたの味方です。この世界でレイさんの親友は自分です。」

「…ありがとう。」

「だから、絶対にレイさんも裏切らないでください。何があっても。」

「…分かった。」

 レイにはトムが何を言いたいのか分かった。前世で何をされたのか知っているからこそ、未だ傷が癒えていないことを知っているからこそ、常に傍にいてくれるのだろう。

「親友がいるっていいな。」

「でしょ。自分はかなり良い親友ですよ。」

トムが豪快にワハハと笑った。

 一方で犯罪奴隷落ちしたジャミは、牢屋の中で久しぶりに熟睡していた。

翌朝起きた直後、傍で寝ている元雑用係の男に話しかける。

「いやあ、奴隷落ちはきちいな。でも命があるだけましだな。」

振り返ったジャミの目の前に、元雑用係の男が首をくくってぶら下がっていた。

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