11.ジャミ
翌日大きな町に到着したレイたち一行は、門番をしていた衛兵に盗賊を捕まえたことを報告した。衛兵が慌てて町の奥へと駆け出していく。次に現れた時には、立派な装備を身に着けた集団を引き連れていた。
「汝らが盗賊を捕らえたのか。」
先頭の髭を蓄えた男が問いかける。
「はい。Bランクパーティーのセイクルズといいます。Dランクの冒険者とともに捕まえました。保護した人たちもいます。」
セインが代表して答え、盗賊たちを引き渡した。
「感謝する。この辺りで被害が出てな。討伐隊を結成したところだった。」
見ると衛兵と熟練の冒険者らしい集団が後ろに控えている。
「手間が省けて良かった。褒賞が出るまで町に滞在するがいい。」
討伐隊は盗賊を引き連れて衛兵の詰所へと戻っていった。
セイクルズと保護した女たち、そしてジャミも証言をするため詰所に行くようだ。
レイも同行を申し出た。
「良いのか。あまり気分のいい話は出ないぞ。」
セインがくぎを刺す。
「構わん。報告することもあるし。」
「衛兵たちへの言伝だったら聞くぞ。」
「いい。直接言う。」
「レイさん大丈夫ですか?自分も行きます。」
トムも心配しているようだ。
「トムはマールさんたちと待っててくれないか。もう大丈夫だ。」
「トム。レイが暴れたら俺たちが何とかするから。」
セインからも留守番するようにと言われ、トムは渋々残るようだ。
レイとセイクルズのメンバーは、連れ立って詰所へと歩いていく。
詰所では生き残った盗賊に対して尋問が開始され、保護された女たちも話を始めているようだ。
セイクルズのメンバーもそれぞれ話す中、証言を控えたジャミの傍らにレイは静かに立っていた。
先ほどの髭をたくわえた男が責任者である衛兵長のようだ。男がジャミに自分の所に来るように言い、ジャミの証言が始まる直前、レイは突然言った。
「この男も捕まえてください。こいつが盗賊の頭です。」




