4.盗賊
夕食後、レイ・トム・セイクルズのメンバー・スミス・マールが、部屋の片隅に車座になる。ポッタは「一番風呂に入る。」と言って、いそいそと風呂場に行った。
声を落としてセインが話し始めた。
「遺体が7体あった。」
スミスが難しい顔をして、
「魔物か。」
「いや。身ぐるみ剥がされて埋められてた。」
「人間の仕業か。」
「盗賊の類だろね。まったく。」
マールも話に加わる。
「夜の見張りは良いかと思ったが、やるか。2人ずつで交代で警戒する。俺とキミイ、クルンとジョナ、レイとトムで交代でやろう。」
「こんな建物襲うかね。」
「7人のうち5人はおそらく冒険者だろう。それが殺されたとなると大人数か強いか。警戒した方が良いだろう。」
マールの疑問に対してセインが答える。
「まあな。最初はクルンとジョナ頼む。次は俺たちがやる。最後は夜明けまでレイ、トム頼むぞ。」
「OK。」
「奴隷で戦える奴いるか。」
「いるが装備がな。棍棒しか持ってない。」
「金ないし。俺が素材見つけたら打つしかねえな。」
スミスが腕組みしながら言った。
「次の町でギルドに遺骨を渡して報告する。情報も集めた方が良いな。」
「この近くにいるでしょうか。」
トムが心配そうに言う。
「一ヶ所に留まることは稀だ。捕まりやすくなるからな。何ヶ所か不定期に移動してるだろう。だが警戒はするぞ。目ぇつけられたら厄介だ。」
セインが言い、一同は頷いた。
赤く染まる大きな月が、東の空から顔を覗かせていた。




