2.野宿
町にたどり着く前に日が暮れようとしていた。
レイは広い空き地を見つけ、トムに言う。
「仕方ない。ここの空き地で今日は野宿かな。」
「じゃあ、セインさんたちに言ってきます。」
トムは最後尾に向けて走り出した。
キッコンからもらった地図を見ると、ここはかつて村だったらしい。
その痕跡か、石の土台がまだ残されていた。
「魔物にやられたんかね。」
マールが辺りを見渡す。
丁度防壁を作る前のキッコーリ村くらいの大きさだ。
「でっどうするんだ。テント買ってないだろ。」
スミスも後方から到着して心配していた。
「大丈夫です。土魔法で簡単な家作ろうと思って。風呂とトイレも。」
「すげえな。普通の野宿より快適じゃん。」
ようやく最後尾を歩いていたセイクルズとポッタが到着した。
トムが全員の点呼を取り、揃っていることを確認してホッとする。
レイが土魔法でサクサクと建物を作っていく。中心に大部屋を作り、その脇に男女別の大浴場と穴を掘った簡易トイレの小部屋を作った。台所は天井を付けず煙が籠らないようにする。周辺を警戒できるように物見用の小窓を作り完成した。
「相変わらず凄いねえ。」
セイクルズの面々が感心する。
「じゃあ、飯にしますか。タックとフクンも腹減ってると思うし。タック!フクン!」
レイが2匹に呼びかけるが返事が無い。
心配してトムと2人で探すと、タックとフクンは森の方を見て唸っている。
「魔物か。」
レイが近づいて確認した。フクンが2人のほうを見ずに言う。
「違う。何かやな匂いするにゃ。」
レイとトムは2匹が指さした方向を凝視した。




