1.金が無い
老人や子供が多いため、ゆっくりと歩いていく。
最前列はレイ・トム・タック・フクン・マール、中頃の両脇にスミスとクルン、その前後の両脇を戦える奴隷で固め、最後尾にクルン以外のセイクルズのメンバーとポッタという形で進んでいく。
最後尾を馬車で行くポッタは少しイライラしながら、横にいるセインに耳打ちする。
「もうちょっと早くなんないですかね。町に着く前に日が暮れちまいますよ。野宿嫌だなあ。」
「じゃあ、1人で先行けばいいじゃ~ん。俺はゆっくりの旅の方がいいかな。」
「いっいや。自分もね。安全を考えてね。」
「じゃあ、お前の馬車にあの人たち乗せりゃいいじゃ~ん。Bランクと一緒にいれば警護に人雇わなくっていいってことだろ。金ケチんなよ。」
セインに言い返され、ポッタは黙ってしまった。
一方その頃前方では別の問題が発生していた。
『にゃんだって!』
「仕方ないだろ。金使っちまったし。」
レイと2匹の猫が揉めている。
約100人で旅をするため、食料の買い出しやら何やらで金を全て使ってしまったのだ。
肉は魔獣を狩ったり、野菜は三日菜で賄ったり、奴隷たちの武器は木を加工したものを持たせたり、節約はしているが当然買わなければならない物もあり、貯めていたお金とオーク討伐報酬は全て使い切ってしまった。
わなわなと震える猫たちにレイは言う。
「何か道すがら金目のものがあったら言ってくれ。美味そうな魔獣とか。」
「金目のもの…。」
「ミスリルや鉄とか。金とか。銅とか。」
「…。」
「それがあったら、金と交換して美味い肉が食えるぞ。」
美味い肉と聞いてタックとフクンの目が光る。
「やれやれ。私も薬草やら食べれそうなの探そうかね。」
マールが会話に加わる。
「自分も頑張って探します。」
トムがレイをフォローする。
一行はゆっくり歩いていく。日が暮れる前に町にたどり着きそうになかった。
第2章から16時投稿にします。




