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復讐者  作者: 安慶
森に埋もれた国
65/421

65.奴隷

 次の日の朝、2匹の猫がレイに頼まれて何やら作っている。

傍らにいるマールは「本当に出来るかねえ。」と疑っているが、猫たちに「エル・キャット様にゃめんにゃよ。」と威嚇され、静かに見守ることにした。

レイとトムはマールに留守番を頼み、スミスの所に行く。

一緒に旅に出ようと誘う2人に、スミスは「分かった。」とだけ答えた。

そのまま村長の家まで行く。

レイとトムが2匹の猫とマール、スミスと共に旅に出ると聞いて村長は驚いていた。

「ここに住んでくれると思っとたんじゃがの。残念じゃい。」

マールのよろず屋は他の人に貸すが、4人と2匹がいつでも帰ってこられるよう、部屋は空けておくという。

2人は村長に感謝の言葉を述べた。

「それで。奴隷のことなんですが。」

レイが話を切り出す。

 ロックが保護した者も面接したが、奴隷は全員、自分が奴隷であることを隠していた。

人として扱われることのない奴隷であることを、進んで申告する者はいない。

だがレイに見破られ、首の根元にある奴隷紋の有無も確認された。

従魔契約と同じように、奴隷の主となる者が奴隷紋に魔力を流し契約する。

奴隷を商人ギルドの出先機関で確認したところ、全員主人がいなかった。

このまま放免したところで、犯罪奴隷がまた罪を犯さないとも限らない。

村としてもその処遇に困っていた。

「なんじゃい。」

「このまま俺が契約して、旅に連れて行こうと思います。」

「ええのか。」

「はい。王都に戻るか旅に付いていくか選ばせますが。」

「う~ん。大変な旅になりそうじゃの。」

「旅する中で問題ないと判断したら、放免しようと思います。」

「そうかい。話すのは早い方が良いかの。」

「はい。」

奴隷たちは今、保管庫に分かれて住んでいる。王都の商人ギルドから何人か派遣され、行動を監視されていた。

商人ギルドも奴隷たちの処遇に困っており、国にお伺いを立てているが何の返事も無いらしい。現在は村が仮の主となっている。

「ちょっとええかの。」

「はい。」

村長が商人ギルドの職員に話しかける。

村長が事情を話すと、「そうですね。」と言いながら職員は考え込んだ。

「私一人では決められないので。王都のギルド長に聞いてみます。」

「頼む。」

馬車で王都まで行き、お伺いを立てるという。

レイは改めて奴隷たちを見た。老人や子供が多く、若い者もいるが四肢が欠損していたり、目が見えない者もいる。

「体のいい廃棄じゃて。」

村長が声を潜める。

奴隷商からすれば穀潰しが売れ、国王側からすれば安く贄を仕入れられたということだろう。

自分から言い出したことだが、レイは大変なことになったと思った。

一方その頃、マールと2匹の猫たちは、「出来た。出来た。」と喜んでいた。

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