63.スキル『真実を見る目』
キッコンが4人を宿屋に送った後、レイとトムは村長と向かい合って座った。
レイが声を落として話す。
「実は鑑定みたいなスキルがありまして。人鑑定できます。」
「ほんとか!凄いの~。」
「移住希望者を一か所に集めて、誰を移住させるか決めましょう。問題起こしそうな奴は分かるんで。冒険者や商人優先で。」
「あと、ケガを負って回復しない奴もいての。ここで面倒みた方が良いと思うんじゃ。」
「ロックが保護した奴隷は。どうしますか。」
「う~ん。難しいの。犯罪奴隷や借金奴隷は特に。」
「やはりそうですか。」
「王都に引き渡すことになるかもしれん。」
「ひとまず移住者決めましょう。奴隷の問題はそれからです。」
夕暮れ前、移住希望者を一か所に集め、全員を受け入れることは出来ないため、明日の朝から面接することを伝えた。
希望者たちはザワザワしていたが、村長がお願いすると静かになった。
レイとトムは宿に行き、スミスたちに面接のことを伝えて頭を下げた。
「まっ、しょうがねえだろ。人多すぎだしな。」
「特に心配してないです。はい。」
それぞれ気にするなと逆にレイたちを励ます。
良い人たちだから決まってほしいなとレイとトムは心から思った。
次の日、朝から村長とレイが面接を始めた。傍らにはタックとフクンを抱っこしたトムが控えている。
先のオーク戦での傷が回復しない者から始まり、商人・冒険者・旅人と面接していく。
1日で終わるかと思っていたが、どこからか話を聞きつけたのか、近くの村や町・王都からも移住希望者が続々とやってくる。
5日をかけて移住者が決まった。
リーツ・トモ・エラも移住が決まり、喜んでいる。
スミスの移住は決まらなかった。




