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復讐者  作者: 安慶
森に埋もれた国
60/421

60.廃業

 トムとレイはリーツ夫妻に駆け寄り、何があったのかと問いただした。

「あっ。レイさん。トムさん。」

リーツが力なく答える。

「盗られて。修理に使うとかで。」

詳しく聞くと、オークの軍勢がなだれ込んだ際、門だけではなく大通りの建物は多大な被害を受けたらしい。大通りは王都の顔だから早く修復しようと、王命だとして兵士たちが建物から建材を奪い取っていったという。

辺りを見渡すと、あちこちの建物が壊されている。

「もう無理です。宿終わりです。トムさん。レイさん。すみません。」

項垂れながらリーツは謝った。2人とも今は野宿しているという。

レイとトムは2人を抱き起し、周りにあるわずかな荷物をかき集めて4人でハンマースミスへと向かった。

ハンマースミスはトモリーツ亭よりの粗末な建物だからか壊されていなかった。

だが中に入ると、所狭しと並べられていた商品が1つも無い。

ドアが開く音を聞きつけてか、奥からスミスが出てきた。昼から酒臭い。

「おう。お前らか。」

ぶっきらぼうにスミスが言う。何があったのか聞くと、

「衛兵がよう。全部盗っていきやがった。」

王命を携えた衛兵長が盗っていったらしい。オーク襲来後、商人ギルドを通じて国と交渉したが、王命は偽装されており衛兵長が勝手にやったこととして1つも返ってなかった。

その衛兵長も行方不明で、オークとの戦闘で命を落としたとされていた。

「もう商売無理だな。何も出来ねえ。」

スミスは酒を飲みながら言う。

「旅に出るかな。つまんねえし。」

もう店をやる気も無いから売りに出していると言って、寝転がってしまった。

暗い顔をしている3人に向かって、悪いと思いながらも色々聞いていく。

「城に様子見に行ったが、すごい警戒していて。オーク以外に何かあったのか。」

レイがそれとなく聞く。

「騎士団もすごい被害が出たと聞いて。それでですかね。」

トムも続ける。

「知らねえのか。」

スミスが座り直し、レイとトムに言った。

「勇者様どもが行方不明になったんだってよ。3人ともな。だから城の守りが弱くなってるんだ。」

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