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復讐者  作者: 安慶
森に埋もれた国
50/421

50.数の暴力

 遂にオークたちが門の前に到達した。

だが門前の深い堀に再び足を止める。

門を開いて堀の上を渡さないと村に入れない仕組みだ。

歩みが止まったオークたちに、魔法と矢が降り注ぎ、オークの死体がどんどん積みあがっていく。

すると後ろにいたオークたちは、死体を前に押し出し堀に落とし始めた。

ロックがつぶやく。

「死体で堀を埋めるつもりか。」

防壁周りは深い堀に囲まれているが、門前に重点的に死体を落としていく。

門を破るのが一番手っ取り早いと考えたようだ。

相手の思惑を感じ取ったロックがサクソウに合図し、門前の防壁に魔法使いと弓使いを集合させた。

ロックが指示を出す。

「堀が埋められる前に倒すぞ。」

集中的に門前のオークを倒していくが、その死体を掘りに落とされ埋められていく。

「もう限界~。あと頼んます~。」

気の抜けた声と共に、とうとう魔力が尽きたジョナが倒れこんだ。

剣士と見紛うほどの体格であるジョナを、戦闘を離脱した魔法使いや弓使いが重そうに支えながら、ゆっくりと下りていく。

「ゴザ。覚悟しろ。」

「分かった。」

普段は無口なゴザが声を張り上げる。

門の前に静かに立ち、ゴザは盾を構えた。

堀が完全に埋められ、オークが門に体当たりし始めた。

 木の枠とレイの土魔法で作られた門は鈍い音を立てている。

体当たりしていたオークたちだったが、門にヒビすら入らないことが分かると、今度は隙間から門を引き剥がそうとし始めた。

レイはレシーアと共に1体でも多く倒そうと門外のオークたちに魔法を撃ち続けている。

トムよりもゴザよりもはるかに大きいハイオークが棍棒を持って迫りくる。

そのはるか後方に、ひときわ大きなオークが歩みを進めていた。キングオークだ。

レイとレシーアはキングオークに魔法を放つが、周りのオークたちが肉壁となり届かない。

壁外でほとんどのオークを屠ったが、100体近くいるハイオークはほとんど数を減らすことなく生き残っており、最後尾のキングオークに至っては無傷だ。

レイと共に魔法を撃ち続けていたレシーアが、とうとうへたり込んだ。

「ごめん…ね。頼むわ。」

駆け付けたサクソウと共に、レシーアは防壁を下りて行った。

ロックは防壁から攻撃していた全ての弓使いたちを下ろし、静かに剣を抜いてゴザの横に立つ。その横には同じくセインが剣を構えている。

サクソウと共に弓使いたちが村中心の建物の中に移動した。

ミナもサクソウに合流する。クルンはセインたちに並び立つ。

ロックたちが突破された場合、残った者は建物に籠城して、最後の戦いをすることになっている。

ロックが最後の号令を出す。

「門がもうすぐ突破される。気合入れろ!」

門を開閉する鎖がちぎれそうになっている。

全員が武器を握りしめて、1点を凝視している。

どのくらい時間が経っただろうか、とうとう鎖が引きちぎられ、オークたちが村内へとなだれ込んできた。

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