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復讐者  作者: 安慶
最後に望むもの
419/421

27、たった一つの願い

 ザムとジャミがレイを見つめる。

レイは女の子の目を真っすぐ見つめ返していた。

「願いって。」

「パパがね、女の子にしちゃってゴメンなさいって。お兄ちゃんのこともゴメンなさいって。だからなんか一つお願い聞くって。」

ジャミがゴクリと唾を飲み込む。

「何でも良いのか、本当に。」

「いいよ、パパだよ。何でも出来るし。」

レイは少し考えた後、一つの願いを伝えた。


 ザムとジャミは少し驚き、女の子は不満そうだ。

「いいの?大丈夫?後悔しない?」

「後悔する!」

レイがキッパリ言うのでジャミがずっこける。

「レイ、あのさあ。」

「後悔するけど。」

レイは少し言葉を切り、また続けた。

「後悔するけど。たぶん創造神が思ってた方の願い言っても後悔すると思う。どっち選んでも後悔するんだったら、皆が幸せになる方が良い。」

「そうなんだ。」

女の子はお茶を少し飲んだ。


 ロックたちは神の塔から外に出て、塔を見上げていた。

強烈な光と鐘の音で勝負が決したことが分かった。

そして先ほど塔内部の黒い板に、レイが次の神になるとの啓示が出た。

啓示が出てもレイたちは帰ってこない。

ロックたちの心配をよそに、トムはのんびりとタックたちと遊んでいる。

だが、トムはふと空を見上げるとロックに話しかけた。

「ロック、ミナのことだけど。」

「ああ。」

「出してくれないか。」

「ああ?」

「良いから早く。」

「何でだよ。」

「レイが奇跡を起こしてくれるよ。」

 トムがニッコリと笑った。


 神の塔の前に、ミナの遺体が横たわる。

巻かれていた布が取られ、軽鎧を身に着けたミナはまるで眠っているようだ。

レイが必死に回復魔法を遺体にかけたが、残った傷が痛々しい。

眠っているような顔は全く生気が無い。

 そのミナを白く柔らかい光が包む。

どのくらいの時間が経ったのか、光が収まるとミナの顔には赤みがさしていた。

「ミナ!ミナ!」

レシーアがミナの側でうずくまった。

サクソウは必死に回復魔法をミナにかけ続け、ロックとゴザもミナの側に跪く。

ミナの顔に赤みがさし、側にいると呼吸が聞こえてくる。

「ミナ!」

「っうるさいなあ。ロック寝ぼけてんの?」

 ミナはロックを叩きながら起き上がった。

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