16、神という名の少年
何も無い空間に白い床がずっと続いている。
頭上には闇が広がっており、見ていると吸い込まれそうだ。
颯爽と現れたかったのに、かなりグダグダになってしまった。
用を足して手を拭いた4人が神らしき人間の前に並び立つ。
見た目は全く人間と同じで、やっと独り立ちしたくらいの少年に見える。
赤い目と白い髪の人間で、生気が無いのではと思うくらいに肌も白い。
神と思しきその少年は、あぐらをかいて地面に座っていた。
「やっと来たの?かなりカッコ悪かったよ。」
「まあな。自然の呼び声には勝てない。」
カッコ悪いことをレイは素直に認める。
「で、君が神なの?」
「もうちょっと口のきき方に気つけたら。僕、君たちよりもかなり年上なんだけど。」
「へえ。」
「1,000年以上は生きてるんだ。」
「ほお~。」
「興味無いね。バカにしてんでしょ。」
少年は立ち上がり、レイたちをうんざりした表情で見た。
「ザムだっけ。ありがとね。色々面白いもん見させてもらったよ。」
「このクソガキ。」
『神の眼』を持つザムが睨みつける。
「で、ここに何しに来たの?まさか僕殺そうとしてたりしないよね。」
「そのまさかだが。」
レイは剣を抜いた。
それを合図にして、他の3人もそれぞれ武器を構える。
「まったくさあ。神に武器を向けるなんて。何考えてんの。死ぬよ。」
武器を持たない、鎧も身に着けていない少年に対し、レイたちはオリハルコンの武器を突き付ける。
レイの短い合図で4人が一斉に襲いかかった。
全員神の脳天目掛けて武器を振り下ろす。
だが神に武器が触れた瞬間、粉々に壊れてしまった。
「へっ。」
レイは残った柄をマジマジと見てしまった。
「君たちバカだねえ。」
神は呆れたように言葉を続けた。
「オリハルコン。最強の金属。それ作ったの僕だよ。僕が作ったもので僕傷つけられるって思う?魔剣?そんなの痛くもかゆくもないよ。」
「ファイア!」
レイが神に向かって火魔法を撃つが、触れた瞬間跡形も無く消えてしまった。
「やっぱりバカじゃん。魔法も僕が作ったものだよ。無駄なことすんだね。」
鼻で笑う神に、固まる4人。
ここまで来て神を攻撃する手段を失ってしまった。




