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復讐者  作者: 安慶
最後に望むもの
406/421

14、神へと続く階段

 レイたちは走りながら上っている。

最初は一段一段踏みしめていたのだが、あまりに段数が多いため苛つき始め、階段を3段飛ばしで上り走っている。

レベル100を優に超える4人には苦も無い。

だが足を踏み外そうものなら、下に真っ逆さまに落ちてしまう。

中央の吹き抜け部分からチルたちの歓声が聞こえなくなり、下が闇に覆われ、上もゴールが見えない闇に覆われている。

「ゴールが見えないってキツイな。」

「そうだな。今どれくらいか。」

「声も聞こえなくなっちゃったしね。」

 窓があればまだ良いのだが、そんなものは無く、所々にある灯を頼りに上っていく。

青白く揺らめく灯は、スミスが持っていた神の灯に似ている。

「どこかで休むか。」

「だな。疲れたら早めにしよう。」

 日の位置が分からないから、正確な時間も分からない。

トムの息が少し上がった所で、4人は壁に背を付け座って休むことにした。

「なあ。今まで上った奴いるのかな。」

「サクソウに聞けば良かったな。」

あらゆる本を読むサクソウなら何か情報があったかもしれない。

 主にレイとジャミが喋る中、ザムは目を瞑って黙ったままだ。

トムは魔法袋を漁っている。

「ねえ、レイ。」

「おう。」

「トイレ…ってどうすんの?」

「おわっ。一応簡易で使えるトイレが魔法袋の中にあるはずだ。」

 それを考えていなかった。

これは現実で、物語のようにサクサク事が進むことが無い。

あとどれくらいで神のもとに着くのか分からない今、食事とトイレは確かに現実的な問題だった。

昨日広場で野宿したときも、侵攻したレイたちが塔内のトイレを借りるなど、少し間抜けな状況になっていた。

「レイさん。」

「どうした、トム。」

「通信袋使えないっす。」

「何?」

 レイが通信袋に魔力を流す。

ザザッという音は聞こえるが、呼び掛けても何の返事も聞こえてこない。

「レイさん。」

「今度は何だ、トム。」

「魔法袋も使えなくなりそうです。」

「何?」

 レイが魔法袋に魔力を流す。

何とか食料を引っ張り出したが、予備の装備やポーションなど、いくつか取り出せなくなっている。

「魔力が使えなくなるのか。」

「徐々にな。」

 静かだったザムが目を開いた。

「どうする。」

「行こう。」

「でも。」

「食料は取り出せたんだ。ここで必要なものだけ取り出してカバンに詰めよう。出直すにしても同じことだ。」

確かにザムの言う通り、出直しても状況は変わらない。

 レイたちはカバンに食料や水を移し替え、それぞれ背負って階段を上ることになった。


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