39.村長の策
「村長どうしました?」
レイが問いかける。
「おお、来たんか。実はな。」
村長は王城で起こっていることを話し、ロックウッドの面々を紹介した。
「レイです。」
「トムです。」
「俺はロックウッドのリーダー、ロックだ。よろしく頼む。」
「僧侶サクソウです。」
「レシーアです。魔法が使えるの。」
「ゴザだ。」
「ここには居ないがミナという斥候もいる。後で紹介する。」
互いに握手を交わし、レイとトムは床に座った。
村長は挨拶が終わったのを見計らって話し始めた。
「での。これから人が増える。あと嫌な予感がする。そこでだ。」
先ほどまで書いていた紙を恭しく掲げながら、村長は話を続ける。
「Eランク冒険者レイ。Eランク冒険者トム。偉大なる魔法使いタック。偉大なる魔法使いフクン。汝らに命ずる。村の中心に強固な建物を建てよ。報酬は高級肉いっぱいとする。ユジュカウの最高部位を用意するぞ。」
『うにゃーーー。』
タックとフクンがよだれを垂らしながら飛び降りた。
「どうじゃい。すごいじゃろ。どんな建物作るかはもう考えてるぞ。」
『うにゃーーー。』
よだれを垂らしながら走り回る2匹を見て、レイとトムは依頼を受けざるを得ないことを察した。
「大丈夫じゃ。2人には金を用意する。」
「うっす。」
トムが返事をする。
「任せてにゃ。1日で作るにゃ。」
「そうかい。そうかい。そりゃ助かる。こんな感じで作っての。」
棚から別の紙を取り出し、2人と2匹に見せた。
王都から来るだろう大勢の人を受け入れるため、村の中心に建物を建てることになった。
「そうしないとな。ワシの予想が当たってたら、相当危険なことになるはずじゃ。」
村長は小声でつぶやく。
「一時の滞在で大げさすぎやしませんか。」
サクソウが村長に話しかけたが、
「ん?先を見越してな。今対策した方が良いぞ。年の功じゃ。」
村長はフフッと笑った。
その夜、ロックウッドの斥候ミナは帰ってこなかった。




