39、昨日と今日
「ディーディー!」
「任せて~パピ~。」
アトラントに呼ばれたディーディーは、のんびりした声の後特大ブレスを放つ。
半壊した帝国の城が、さらに溶けていく。
「一斉攻撃!」
更にアトラントの号令で、ブラックドラゴンが一斉にブレスを放った。
状態異常を引き起こす黒いブレスが城全体を覆う。
「行くぞ。タック、フクン、魔法を。」
『にゃああん。』
タックとフクンの魔法で、全員が光に包まれる。
まだブレスの熱と状態異常の霧が残っているため、それを無効化するバフをかけてもらった。
レイたちは空からチルたちは地上から城の奥、皇帝の間を目指す。
「はっはー。軽い軽い。」
「ロック、前出すぎるな。俺のやること無くなる。」
ザムとロックが先を争うように帝国兵をなぎ倒していく。
ディーディーの灼熱ブレスで城の外側は完全に溶け、オリハルコンで守られている内側も、ブラックドラゴンのブレスが蔓延している。
帝国兵は状態異常で動きが鈍く、ザムとロックの格好の餌食になっていた。
「まったく、楽なもんですなあ。」
後方でタックたちを守っているトムがのんびり呟いている。
レイとトムはほとんど戦闘に参加していない。
「ここまでは楽なんだよなあ。」
ロックがぼやいた。
攻めはじめてから2時間後、皇帝の間へと続く扉の前にレイたちは立っていた。
いつもここまでは攻め込めるのだ。
だが皇帝の間に入った途端、罠やひしめき合う帝国兵に邪魔されて、皇帝の椅子までたどり着けない。
「今日も何かあるな。」
「まあな。いつもながらに。」
ゴザのバズーカ砲で扉を吹き飛ばすと、前と同じようにレイたちは中に入る。
「今日こそはお前を殺すぞ。」
ザムが剣先をラガッシュ11世に向け、鋭い眼光で周りを見回した。
前日まで、オリハルコン製の装備を身に着けた帝国兵でひしめき合っていた皇帝の間は、今日は12人しか帝国兵がいない。
ラガッシュ11世の前には11人の兵士がオリハルコンの鎧を身に着けて立っていた。
その中の1人はクラトースだ。
「今日で終わりそうだな。行くか。」
「ああ。死ぬんじゃねえぞ。」
「アホか。縁起でも無いこと言うな。」
レイとロックが軽口を言いあいながら並び立つ。
だがすぐ攻撃に入らず、武器を構えたまま帝国兵たちに対峙していた。
どのくらいの時間が経っただろうか、背後の廊下が騒がしい。
どうやらチルたちが追い付いたようだ。
「ちょっと遅れましたか。城の中確認しました。」
ゴゴズがレイ後ろで報告する。
「お疲れ。これで最後だ。」
「あいつですね。1…2…。全部で12人ですか。」
「だが、強いぞ。油断するな。」
「はい。」
ゴゴズがレイの隣で槍を構えた。
チルも後方で杖を握りしめた。
「罠は?」
「無いです。警戒続けます。」
レイの奴隷の1人が罠を確認する。
レイは一呼吸置いた後、皇帝の間に響き渡るように叫んだ。
「かかれ!」
レイたちは武器を構え、帝国兵目掛けて駆けだした。




