34、皇帝の間へ
城が揺れるほどの轟音が鳴り響いている。
スミスとエラの作った攻撃用魔道具は、城の中で思う存分威力を発揮していた。
全員耳を塞いでいるのだが、それでも音がすごい。
ジャミは耳の良い3匹を守るように最後尾を警戒していた。
細い筒から連続して繰り出されるソレは、バズーカ砲のようなものだ。
レイがスミスに説明して作ってもらった。
体力も魔力も使わないため、また範囲攻撃のため、対帝国軍には有効だったようだ。
弾の威力でアダマンタイト製の装備を付ける帝国兵を吹き飛ばし、レイやロックがとどめを刺す。
「しっかし、固てえ城だな。」
ロックが城の壁を見た。
城の外側の部分はディーディーのブレスで壊れたのだが、内側は非常に頑丈で壊れていない。
レイたちの攻撃で壁紙が剥がれ、じゅうたんが焼けたのだが、そこから鈍い黄金色の壁や床が見える。
「オリハルコンか。」
「そのようだな。チッ。神か。」
「何らかの手助けをしたんだろうな。」
城の内側がオリハルコン製であるのは想定外だ。
その他にも何らかの神の恩恵があると思って良い。
レイの心は落ち着かないが、前に進むしかない。
皇帝の間へと進むにつれ、兵士の数がどんどん減っていき、とうとう帝国兵がいなくなった。
「行きましょう。」
弾を1発残して撃ったトムが皆に声をかける。
ライバの案内に従って、皇帝の間へとレイたちは進んでいた。
ライバはジャミを助けた時しか皇帝の間に行っていないが、1回だけで道順を覚えたようだ。
スルスルと迷うことなく進んでいる。
「この扉を開けたら。」
ライバの言葉にレイは緊張の面持ちで剣を構えた。
扉を開ければジャミの実の弟であり皇帝のラガッシュ11世がいる。
彼を討ち、帝国を解体させられれば、レイたちにとっては非常に有利になる。
「準備いいですか。」
トムの言葉にレイは頷く。
残り一発となった弾を撃ち、扉を破壊した先には、おびただしい数の帝国兵が待ち構えていた。




