33、再戦
「皆、すまない。もっと早く相談していれば。」
ザムが深々と頭を下げた。
ザムの顔はひどく腫れていた。
昨日の夜ロックに殴られケガをしたのだが、レイが治そうとすると「いや、いい。」と断ったのだ。
「レイ、何で冷静なんだ。」
ふてくされた顔のロックがレイを睨みつける。」
「考えてみると。俺たちは帝国と戦ってるが、帝国に魔族を作れと言ったのは神だ。俺たちにとっちゃ神も敵だ。何でも見通せる神相手に、隠し事なんて出来ないんじゃないかって。」
「でもよ。」
「過去を悔やんでもしょうがない。これからどうするか考えないと。」
「で、何考えてんだ。」
「大体誰でも考えそうなことだ。ザムに作戦やこれからどうするのか言わない。必要に応じて直前に言う。」
「まあ。それしか無いか。」
「それも気休めだ。神相手なんだ。ザムを利用しなくても診たいもんが視える相手じゃな。」
レイの言葉にロックは少し肩を落とす。
これから厳しい戦いになるのは間違いない。
「じゃあ、行くか。」
「ああ。」
レイはロックと共にディーディーの背中に乗り込んだ。
前回と同じようにロックたちはディーディーで先行して城に乗り込む。
チルたち奴隷と、アトラントたち魔族は、マッチョリザードホーズの馬車とブラックドラゴンに分かれて乗り、別行動をすることになる。
ディーディーに乗るのは、レイ・トム・ジャミ・ライバ・ロック・ゴザ・レシーア・タック・フクン・アレス・マイロ・クラトースだ。
ロックが嫌がったため、ザムはアトラントと共に別行動になる。
ディーディーはふてくされていたが、アトラントとザムに説得され、渋々レイたちだけを乗せることになった。
「じゃあ、行くか。」
レイの言葉にトムたちが頷いた。
2時間後城の上空にたどり着く。
半壊した城は修復されることなく、前日のままの状態で残っている。
ディーディーが特大ブレスを城目掛けて放つ。
背中に乗っていても体が焼けそうになるほどの熱だ。
マイロがいないからか、遠慮のない特大ブレスだ。
だが、半壊した城はそれ以上壊れることも溶けることも無い。
「やだあ。何か魔法で強化してるねえ。」
のんびりとディーディーが言う。
「グレイトドラゴンのブレスも耐えるって。」
「かなり強化してるな。今日も骨が折れそうだ。」
厳しい戦いになりそうだ。
レイとロックは剣を抜いて握りしめた。




