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復讐者  作者: 安慶
神への抵抗
380/421

32、神の眼

「お前が?」

レイが意外そうにザムを見る。

ザムは魔族で帝国に対しても、ギルガ教会に対しても、神に対しても恨みがある。

情報を漏らすことは無いとレイは思っていた。

「俺のスキルを前に話したことあるな。」

「『ミラー』だっけか。相手と同じレベルと強さになる。」

「そうだ。だが実はもう1つある。」

「そういえば。」

レイは特殊なスキルを2つ持っている。

ほとんどの人がスキルを2つ持っていて、後から得たスキルも含めて3つ持っている者もいる。

そんな中ザムのスキルが1つというのが珍しいと思っていた。

「でそのスキルなんだが、よく分からない。」

「ん?」

「よく分からないから言えなかった。本当に分からなかったんだ。」

「でスキルって。」

「『神の眼』というスキルだ。」

「神のように色々見通せるということか。」

「いや。スキルを時々使うんだが。頭の上に真っ暗な空間があって。足元は真っ白なんだ。その光景が果てしなく広がっている。」

「それだけか。」

「そうだ。」

「確かによく分からんな。」

「よく分からなかった。だがお前たちの話を聞いて思ったんだ。これは今の神の視点じゃないかって。」

「神が視ているものをザムにも視えるということか。」

「じゃないかと。で、俺が神のものが視えるというとは、その逆もあるんじゃないかと。」

 ザムはそれ以上話すことは出来なかった。

ロックが突然殴りかかってきたからだ。

「お前が!お前のせいで!ミナが!」

「わあああ。レイさん止めてください!」

 ロックを押さえようとしたトムが叫ぶ。

だが、レイは止めることなく、アトラントを振り返った。

「アトラントさん。チルたちを助けるのはザムと相談して決めたんですか。」

「いや。レイ殿たちが帝都に行くことは聞いていたが。ふいに決めたのだ。ライバ殿の魔力を頼りに向かったのだがな。」

「ライバさんの。」

「ライバ殿は魔物だからな。探しやすかったのだ。」

 アトラントたち魔族の奇襲が成功したのは、ザムに事前に知らせなかったからだ。

相手に情報が知れていたら対策され、アダマンタイト製の装備に身を包んだ帝国兵相手に、アトラントたちは苦戦しただろう。

「ぎゃあああ。レイさん止めてください!」

ロックを押さえようとしたトムが再び叫ぶが、レイは今後の対策について考えていた。

 その日の夜、トムのあばらが3本折れた。


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