17、殴打
ジャミを殴り続けるロックをレイとライバが必死に止めていた。
「ロックやめろ。」
「ロックさん、私も悪いんです。やめてください。落ち着いてください。」
レイはロックを羽交い絞めにしようとするが、まだ体調が戻っていないのか完全に止めることが出来ない。
ロックは殴りながらジャミを尋問する。
「ミナを殺したな。」
ロックに殴られてジャミの顔から歯が飛び出した。
「何故だ。裏切者。」
ジャミの顔がいつもの2倍くらいに腫れている。
「ラガッシュ帝国の皇帝様が何でレイの奴隷やってる?答えろ。」
ジャミの胸ぐらを再び掴んだロックは、低い声で問い詰めた。
「俺、皇帝違う。」
「じゃあ何だ。他人の空似か。」
「放して。説明するから。」
「ダメだ。お前逃げるだろ。」
ロックの目は怒りでギラついている。
ジャミはロックを説得するのは無駄だと悟ったのか、ポツポツと話始めた。
「今の皇帝、俺の弟。」
「ほう。」
「俺、盗賊だったから、小さいころ追放された。」
ロックは黙ったままレイを見た。
レイはジャミが嘘を付いていないと首を縦に振った。
ロックがようやくジャミを放す。
ジャミは地面に伏せて苦しそうに咳込んでいる。
ライバはタイミングを見計らったようにロックに説明した。
「私も悪いんです、ロックさん。防壁を超えるとき、罠にかかって。それで。」
「ミナは。」
「はい。」
「どこにいる。」
ジャミが震える手で魔法袋を差し出す。
レイが中から大きな白いものを取り出した。
全身を白い布に包まれたミナだ。
布には所々黒いシミが付いている。
ロックは跪くとミナを優しく抱きしめる。
そして小さな声で嗚咽し始めた。
レイたちはそれを黙って見ているしかなかった。




