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復讐者  作者: 安慶
神への抵抗
363/421

16、敗北

 レイはロックの顔を直視することが出来なかった。

「ミナたちから、連絡は来てない。」

「そうか。」

 ロックはレイの前に座り、静かに話始めた。

「どこまで知ってる?」

「何を。」

「ジャミのことだ。」

ロックの問いにレイは戸惑った。

だがロックの顔は真剣だ。

洗いざらい話す方が良いだろう。

「元盗賊の頭。俺の奴隷。特殊なスキルを持ってる。キングリッチが言うには『神の理から外れた者。』

「神の理。」

「そして『呪い子』と言われていた。」

ザムも話に加わる。

「盗賊になる前のことは知ってるか。」

「知らない。何も言わないからな。隠し事はあるだろうが。」

 ロックは真剣にレイを見つめている。

傍らにはトムとゴザも来て座り込んでいる。

「ジャミが現ラガッシュ帝国の皇帝だってことも知ってるのか。」

「まさか!」

 レイは信じなかったが、ロックがこの状況で冗談をいうとも思えない。

ロックは魔法袋から丸まった紙を取り出すと、レイに黙って差し出した。

レイは受け取った紙を読む。

ポッタから転移の魔法袋で送られてきたマイロの手紙だ。

レイは手紙をゆっくりと読み、読み終わった後ロックに返した。

「嘘だ。マイロの見間違いじゃないのか。」

「そうだと良いが。ミナたちが帰ってくればはっきりするんだがな。」

 ロックは心配そうに南にある町を見つめていた。

ミナたちからは成功とも失敗とも連絡は無い。

口には出さないが、全員の脳裏に最悪の事態がよぎる。

「とりあえず安全な場所まで行きましょう。ここは町に近すぎる。」

ゴザの提案により、レイたちは大森林の中ほどまで後退した。

オーガやサイクロプスがいるはずだが、ディーディー効果か周りには魔物がいなかった。


 眠れないまま一夜を過ごしたレイたちに、ジャミから連絡が入ったのは明け方だった。

弱々しい声のジャミを心配し、レイとロックは迎えに行くことを決める。

トムには散々心配された。

「レイさん、行くんですか?」

「ああ。」

「そんな体で。休んでください。自分が行きます。」

「いや。主人である俺が行く。マイロの手紙が本当かどうか聞きたい。ここ任せて良いか。」

「はい。無理しないでください。」

「分かってる。」

 レイとロックは黙々と準備し、マッチョリザードホーズに乗って森を駆け抜ける。

ジャミたちは大森林まで逃げ延び、西側の山に近い所に隠れているそうだ。

マッチョリザードホーズはディーディーほどではないが、恐ろしいスピードで西へと向かう。

5日ほど走り続け、森の中で少し開けた場所を見つけた。

何かを感じ取ったのか、サイクロプスの集団がうろついており、レイとロックは2人がかりで倒していく。

ブラックドラゴンを一撃で屠れる2人には苦ではない敵だった。

「やっと倒した。レイ、ミナたちがどこにいるか分かるか。」

「待ってろ。」

レイが通信袋を手に持った瞬間、近くにあった岩山の側面がガラガラと崩れ落ちた。

中から薄汚れたジャミとやつれた様子のライバが出てくる。

「助かった…。」

倒れこもうとするジャミをロックが支える。

心配して助けたように見えたが、ロックは突然ジャミの胸ぐらを掴んだ。

「ミナはどこだ。」

ライバが顔を覆う。

ジャミは目を伏せながら、弱々しい声で呟いた。

「死んだ。」


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