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復讐者  作者: 安慶
神への抵抗
361/421

14、親友

 レイが兵士に踏みつけられている。

口と鼻から血が噴き出していた。

その隣でザムもまた、兵士に組み伏せられている。

両足が折れているようで、あらぬ方向に折れ曲がっていた。

 遠くからドラゴンの咆哮が聞こえる。

ディーディーだ。

レイとザムが帝国軍に捕まったのに気が付いてディーディーが暴れ出したが、2人を人質に取られ拘束されようとしていた。

今な兵士がディーディーに鎖を巻きつけようとして苦戦している。

「くそっ。こいつらっ。」

レイを踏みつけている兵士が足に力を入れた。

 レイとザムは陽動を続けていたが、ミナたちからの連絡が無く、撤退のタイミングを逃してしまった。

3日もすると万を超える帝国軍が北の町に集結し、反撃を開始する。

数で圧倒する帝国軍を前に、レイとザムはとうとう魔力も体力も尽き、大森林に押し寄せた軍勢により捕らえられてしまった。

「レイ。すまない。」

ザムが力なく言葉を発する。

「俺が巻き込まなければ。こんなことにならなかった。」

 確かにザムの言う通りかもしれない。

ザムの言葉に耳を傾けず、魔族と戦う道を選んでいれば。

だが、この決断をしたのはレイ自身だ。

周りの忠告も聞かず、ザムと一緒に魔族領に行くことを決めたのはレイだ。

後悔が無いと言えばウソになるが、あのまま魔族と戦い続けていても後悔していたように思う。

レイはわずかに首を振り、ザムに応えた。

ザムはその姿を見ると顔を地面へと埋める。

レイに顔を見られたく無いのだろう。

「司令官、こいつらどうします?」

「ここで斬首する。首を持ち帰って皇帝に献上する。」

 司令官の判断は的確かつ早かった。

レイとザムが帝国に攻撃した理由は不明だが、味方が近くにいるかもしれず、リスクを取らないことにしたようだ。

 すぐさまレイとザムの体が近くの大きな岩の上に乗せられる。

ザムの姿を見たディーディーが大きく咆哮し、周囲の空気を震わせていた。

「すまない。すまない。」

力なく言い続けるザムをレイはちらりと見ると、そっと目を閉じた。

 召喚されてから短い人生だった。

2年間、強くなり復讐を果たし、後悔はあるが充実した人生だったと思う。

帝国軍司令官は剣を抜き、レイの首めがけて一気に振り下ろした。

ガキンという重い音がして、振り下ろされた剣が止まる。

 レイの耳に懐かしい、心地よい声が聞こえてきた。

「間に合って良かったです。」

トムはハルバードを一気に振り上げると司令官をはるか後方に弾き飛ばす。

 森の北からは大勢の気合の入った叫び声が聞こえてきた。

「俺に続け!一気に攻めるぞ!」

ロックに率いられたレイの奴隷たちが、一気になだれ込んできた。


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