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復讐者  作者: 安慶
森に埋もれた国
35/421

35.絶体絶命

 「くそっ。畜生!」

自室にて、騎士団長は持っていたグラスを投げつけた。

グラスは跳ね返り、近くにいた兵士にあたり彼は悲鳴を上げたが、騎士団長は謝るどころか顔を向けようともしなかった。

勇者召喚をしてから何もかも上手くいかない。

兵士の士気が下がり、辞める者が後を絶たない。

辞めることを禁じてもみたが、盗みなど規則を破る者が続出し何の効果も無かった。

肝心の勇者3人は、女に酒に遊ぶことに呆けていて、全く訓練をしようとしない。

大臣からも教育がなっていない、金がかかりすぎると会うたびに小言を言われたが、じゃあお前がどうにかしろと言いたいのをぐっと堪えていた。

冒険者ギルドで教官をしている弟が、「良いカモを見つけた。」と嬉しそうに話し、新人冒険者から高価な装備を奪い取る算段をつけてきた。衛兵長に金を渡し装備を奪い取ったが、安物の鉄剣と皮鎧だった。その安物の装備も商人ギルドからの抗議により、新人冒険者に貸与していた武器屋に返す羽目になった。

オーク村討伐で勇者のレベルを一気に上げようとしたが、返り討ちにされ、大勢の部下を失いながら敗走する羽目になった。

大臣もさすがに勇者3人を咎め、大人しく訓練に参加するようになったが、既に手遅れの感もある。

さらに悪い事態が起ころうとしていた。

オーク村及びその周辺を警戒していた騎士団に所属する斥候から、オークが集団を形成し、王都への移動を開始したとの報告が来たのだ。

「近くの村を襲うんじゃねえのか!」

国王と大臣を目の前にしているが、思わず騎士団長は声を荒げた。

「はっはい。今までは。今回はどうも違うようで。」

萎縮しながら斥候が報告する。

「大臣!どうするんだ。このままでは。」

手足をばたつかせながらシュミム王が騒ぐ。

オーク討伐に失敗・多くの兵士を失ったうえ、オークが集結して王都へと進軍を開始した。

大臣は頭を抱え、無能なお前が考えろと王を怒鳴りつけたい衝動を押さえつけながら、考えを巡らせた。

「2つほど案が…。大量の魔術師と奴隷や貧民が必要ですが…。」

話を続けた大臣の提案に、さすがに王と騎士団長は驚愕したが、大臣の、

「オークどもは腹を満たせば帰るはず。」

との説明に、他の案を出すことも出来ず同意するしかなかった。

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