27、反乱
『へっ。』
レイだけではなくジャミも勇者3人も間抜けな声が出た。
「はっ反乱って。神に対して?」
「いや、アッカディー王国に対してだ。」
どういうことだとアッカを見る。
アッカはお茶を一口飲んだ後、口を開いた。
「事態は結構深刻でね。ギルガ教会がアッカディー王国に対してレイの引き渡しを要求してきた。」
「まあ、咎人ですからね。」
「というよりも、『アッカディー王国がギルガ神聖国に戦争を仕掛けようとしてる』ということにしたいらしい。」
「んな無茶な。」
ジャミが呆れている。
「ギルガ神聖国はレイたちがアッカディー王国にいるとみている。実際そうなんだが。で引き渡さなければ、アッカディー王国が神と神聖国に対して宣戦布告したとみなすらしい。」
「じゃあ、俺たちが小国群か魔族領に行けば。」
レイの提案にアッカが首を横に振る。
「行った先でも同じことだ。何の解決にもならない。」
「それと反乱とどういう関係が。」
「そこからは俺が説明する。」
タリカが口を挟む。
「タリカ大領が反乱を起こしたことにする。」
「良いのか。」
「西は魔族領、南は大森林、北は高い山がある。ギルガ神聖国が攻めることは出来ないと思うぞ。」
「東側は。」
「レイの作った町がある。ちょっと考えがあってね。お前の奴隷たちを使わせてもらったぞ。」
タリカが悪い笑みを浮かべている。
「タリカがヤバくなるんじゃ。下手すりゃ処刑されるぞ。」
「ん?俺か?俺はレイの人質になるぞ。」
「…詳しく説明してくれ。」
タリカの説明では、レイがタリカ大領を急襲してタリカやライルを人質にしているということにするそうだ。
そうすれば万が一計画が失敗しても、レイに捕らわれた間抜けな貴族としてアッカディー王国を追放されるくらいになるだろうとタリカは予想していた。
「もう俺、大悪人じゃん。」
レイが頭を抱える。
「大人しく捕まるにしても抵抗して失敗するにしても、どちらでも死ぬ。だったらわずかな可能性にかけろ。非情に聞こえるかもしれんが俺たちが出来るのはそこまでだ。」
タリカの言う通り、国王と大領主の地位に就く者が出来ることは限られている。
今屋敷で密会している所を踏み込まれたら、2人もタダでは済まされない。
現時点でも非常にリスクのあることをやってもらっているのだ。
レイは大きく深呼吸すると、タリカを真っすぐ見た。
タリカは少し微笑んで言った。
「良い顔だ。絶対成功しろよ。」
「ああ。行くよ。」
2人はガッチリと握手をした。




