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復讐者  作者: 安慶
魔族の真実
337/421

21、ロックウッドとの再会

「レイ、この後どうすんだ。もうすぐ夜だぞ。」

女装したジャミが聞いてきた。

「ドイン領に行く。」

「ロックウッドの所?」

「そうだ。今の時点では一番安全な所だ。」

 レイは考えた末、ドイン領に行くことにした。

魔族領に近いため、アッカディー王国の貴族連中はうかつに近づけないだろう。

それに加えて、レイが3人の勇者を誘拐していないことをロックやミナは知っている。

事情を全て話すことは出来ないが、時間稼ぎをするくらいは出来るだろう。

魔族領にいるザムとも合流しやすい。

合流した後、今後どうするかを決めることにする。

「ライバさん、お待たせしました。」

家の地下室に戻ったレイは、ライバに謝る。

「いえ…、妻と息子は元気でしたか?」

「はい。ライバ領は今のところ異常ありません。」

ライバはホッとしたようだ。

「夜ですが、今からドイン領に行きます。」

レイの提案にライバは頷く。

「それが良いでしょうね。今はロックウッドの皆さんしかいないですし。人目につかないのでバレる心配は少ないでしょう。」

 ドイン領は人集めに苦労している。

魔族領に近く魔族や魔物との戦いが避けられないため、ある程度の強さが無いと死ぬだけだ。

ドインの部下がほとんど死に、元シュミム王国にいたAランクやBランクの冒険者は小国群に行ってしまった。

ロックが貴族となり、そのままドイン領の領主をしているが、近隣の町や村は復興していないため、領内にほとんど人がいない。

ロックウッドのメンバーと生き残ったドインの部下、レイの奴隷から志願した数十人が要塞に詰めているだけだ。

 レイたちはドイン領要塞近くの魔法陣に移動し、警戒しながら夜道を進んでいく。

しばらく歩くと岩山のような要塞が見えてきた。

初めてここに来た時はドインも元気に出迎えてくれ、男たちがひしめき合っていて賑やかだった。

だが今は、灯が無くしんと静まり返っている。

「ここまで来たがどうするかな。」

勢いで来てしまったが既に夜だ。

岩に偽装した扉を叩いても誰も出てこないかもしれない。

 レイが扉の前に立ちノックしようとしたその時、扉がバッと開く。

「わっ。」

レイが思わず後ずさると、笑顔のミナが飛び出てきた。

ミナの後ろから前よりも柔和な顔になったロックが出迎える。

「よお犯罪者、久しぶりだな。」

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