18、どこに行く?
「おーいい。」
「お前が話さないのも自由。俺たちが付いて行くのも自由。」
レイとセインの言い争いを聞いてジャミが言った。
「もう言っちゃえばいいじゃん。危なくなったらセインたちは知らないフリすれば良いし。」
「そうはいかない。俺やタリカみたいなスキル持ちには一発でバレる。」
「味方になってもらえば良いのに。」
「巻き込んじゃダメだろ。」
「セインたちが知りたいって言ってるんだから良いじゃん。」
今度はレイとジャミが言い争う。
それを聞いていたジョナが割って入る。
「仲良くお話し中のところ悪いが、レイの奴隷たちがもうすぐ帰って来るぞ。」
「俺の奴隷たちまだいんのか。」
レイの奴隷たちはトホス王国の王都を作った後、セインたちとエル・キャット探しに従事していた。
「もう探しつくしたんだがな。この屋敷部屋余ってるし、何人か残って探してくれてるんだ。」
「そうか。あの後見つかったのか。」
「2匹な。全部で10匹だ。ちゃんとライバ領に送り届けたぞ。」
「良かったな。」
「ああ。もういないだろうが、念のため探し続けてくれてるんだ。」
レイは自分の奴隷たちが帰ってくるのを待っている間、チルに連絡を取ることにする。
一度町の戻ろうかと思ったが、帰ることが出来るのか不安だ。
チルに問いかけてしばらく経った後、ザザッという音と共にチルの声が聞こえてきた。
「レイさん。」
チルは小声で話している。
何かあったのだろう。
「チル、そっちも危ないんだな。」
「はい。レイさんの指名手配ですんごい事になってます。」
「詳しく。」
「まずアッカディー王国から貴族連中が自分たちの騎士団連れて大勢やって来てますよ。レイさんの指名手配って大義名分あるから、勝手にダンジョン入るし。」
「すまない。」
「いえ。そこら辺はタリカさんが対応してくれてます。レイさんの家も酷くって。」
「俺んち壊れたか。」
「壊れたとかじゃなくて、毎日誰かしらが探しに来るんです。隠れてるんじゃないかって。」
「誰も住んでないのは良かったかもしれん。」
マールも死に、トムはハリナと別の家に暮らしている。
タック・フクン・アレスはライバ領にいる。
主のいないレイの家は奴隷たちが定期的に掃除などしているが、今は誰も住んでいない。
「魔法陣は使えるか。」
「使えますけど、俺んちからつないでた通路も塞いでます。バレそうになったんで。」
「分かった。ありがとう。切るわ。」
チルの声が次第に焦ってきたので、通信を切る。
家の地下にある魔法陣は使えるが、町には戻れないようだ。
「どこ行きゃ良いんだ。」
レイが行き先に悩む中、レイの奴隷たちがエル・キャットの捜索から戻ってきた。




