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復讐者  作者: 安慶
魔族の真実
333/421

17、指名手配

 セインは急いでレイたちを家の中に入れ、扉を厳重に閉める。

「町に寄ったか。誰かに見られたか。」

「いや、町に寄ってないし、見られてないと思う。」

 トホス王国は何もない国だ。

冒険者や商人は滅多に行かない。

道すがらここまで来たが、誰にも会わなかった。

「もうすぐ町からクルンとジョナが帰ってくる。もっと詳しい情報があるだろう。」

セインの言葉にレイは黙ったまま頷いた。

 1時間後、クルンとジョナが帰ってきてレイの姿を見て驚いている。

「冒険者ギルドの手配書は?」

「ある。教会からももらってきた。」

ジョナの差し出した紙をひったくったセインは、テーブルにその紙を並べる。

 冒険者ギルドと教会から出された2枚の紙には、Bランク冒険者レイの指名手配について詳細が書かれていた。

生死問わず、賞金100万ゴールド。

容疑は勇者3人の誘拐と、魔族と手を結び帝国を襲ったことが記されていた。

ジャミやショウダイたちが騒ぐ中、レイだけは冷静だった。

魔族領で戦った時、ショウダイたちの姿を帝国側の人間は見ていた。

帝国とギルガ神聖国が繋がっているならば、レイが3人と行動を共にしていたことは筒抜けだろう。

魔族領で帝国軍と戦ってから3日しか経っていない。

指名手配まで早すぎる。

 レイは考えを巡らせる。

もしかしたらマイロは未だに帝国と繋がっているのかもしれない。

帝国側にレイたちのことを話し、今回の素早い手配になったのだろう。

 レイのスキルは便利だが穴がある。

嘘をついているかどうかは分かるのだが、意図的に隠したことまでは分からない。

マイロは今も帝国と繋がっているかどうかまでは話さなかった。

魔族を作った理由やポポルック族への思いは本当だ。

だが、自ら話すことによって何かを隠したのではないか。

だが、だが。

もしかしたらと考えても仕方が無い。

今は出来ることは何かを全力で考えるとしよう。

「レイ、何やったんだ。」

焦るセインを見て、レイは答える。

「まあ、帝国と喧嘩中だからな。」

「何でだよ。」

ここでセインに洗いざらい話すことは出来ない。

巻き込むことになるからだ。

「魔族が襲ってくるのは帝国のせいだって分かったからな。」

「どういうことだ。詳しく話してくれ。」

「いや。」

渋るレイをセインは軽く睨む。

「おい。俺とお前の仲だろ。付き合い長いのに隠すつもりか。」

セインの説得にレイは少し迷う。

ここでセインに洗いざらい話して味方になってもらえれば、なんと心強いことか。

「…悪い。セインたちを巻き込む訳にはいかないんだ。」

言葉に詰まるレイにセインはため息をついた。

「そうやって一人で抱え込むなよ。」

「話したいんだが、かなり危険なんだ。」

「分かった。」

セインが諦めてくれたことにホッとしていたレイだが、

「じゃあ、俺たちは勝手にお前に付いて行く。」

という言葉にレイはひっくり返った。

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