14、不治の呪
25年前くらいですか、色々と問題が出てきましてね。
魔族は作れたんですが、弱くてね。
すぐ死んじゃうんですよ。
それにマイロに病気が見つかったんです。
そうです。
光魔法かポーションで治せばって思うでしょう。
でも治らなかったんです。
何かの呪いの一種だって、ギルガ神聖国からきた僧侶も言ってました。
誰が呪いをかけたのか分からないまま、兄は病んでいきました。
強い魔族を作るという夢半ばで死ぬことに耐えられなかった。
そして自ら命を絶ってリッチとなりました。
リッチ化しても魔族を作ることを止めなかった。
むしろ魔力量が増えて作りやすくなったんです。
喜んでましたよ。
でも、弊害もありましてね。
段々と自我が無くなっていきました。
で、先代の皇帝が人の来ないこの遺跡に拘束しました。
転移の魔法陣作って。
時々魔族にする死体を持ち込んで、最後の仕上げに、兄の魔力を使ってました。
でも兄は満足しなかった。
もっと強い魔族を作ろうとBランク以上の冒険者を寄こせと言ってきました。
それでも満足しなくてですね、とうとう剣聖と呼ばれていた聖騎士団長と、聖騎士団をも殺して魔族にしてしまいました。
ザムが前のめりに聞いている。
自分の父親が殺された理由を聞いて、何を思っているのだろう。
そして強い口調でマイロに詰め寄った。
「ギルガ神聖国の聖騎士団だぞ。ギルガ教会に知られれば、帝国でもタダでは済まされないだろう。」
「そのギルガ神聖国が帝国と手を結んでいたとしたら。」
「何だと。」
「そしてギルガ神聖国でも魔族を作っていたとしたら。もっと強い魔族を作るために勇者を召喚したとしたら。」
マイロから聞かされた事実に、レイたちはショックを受ける。
それと同時にフッと腑に落ちる所があった。
ショウダイたちはギルガ神聖国から逃げ出した。
不穏な空気を感じ取り、教会が自分たちを手術しようとしていたことを知ったからだ。
その手術というのは、ショウダイたちを魔族にしようとすることだったのだろう。
「でっでも、神様そんなこと許さないんじゃ。」
どもりながらジャミが反論する。
「兄が、ガイライが神からお墨付きをもらったと言ったでしょう。魔族を作ることは神の意思です。」




