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復讐者  作者: 安慶
魔族の真実
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12、マイロの告白

 どこから話しましょうか。

じゃあ、まずは私の話から。

ラガッシュ帝国には冒険者ギルドも商人ギルドも無いんです。

でも魔物は出る。

兵士がすることもありますが、大体は戦える奴、まあ市民が小遣い稼ぎで魔物討伐するんです。

私は勉強は出来たんですが、何のスキルも持ってません。

市民が捕ってきた魔物を解体するっていう仕事に就いてました。

嫌がる人もいるんですが、私には天職だった。

人と必要最低限の会話しかしなくて良いですし、稼ぎが良かったんで。

 で、私も時々たった1人の友人と討伐してたんです。

ある時、バカなことに私たちオークの村に出くわしてしまって。

キングオークに見つかったんです。

私の目の前で友人は殴り殺されました。

胸を鷲掴みにされて内臓抉り出されました。

 私も死ぬって時に帝国軍が到着しまして、何とか命拾いした。

で帝国軍がオークたちを倒した後、友人の死体を弔おうとしたら、内臓が、心の臓が見えてしまって。

その時気付いたんです。

人間には魔石が付いてないってことを。

 不思議でした、何故か。

それから死んだ人がいたら、コッソリ胸を開いてみるようになりました。

魔物には、どんな魔物にも必ず魔石はあります。

スライムにもちっちゃな魔石があります。

じゃあ何で人間には無いのかって。

その疑問が日に日に膨らんできて、ダメだと思っていながら止められなかった。

 興味はすごいあったんですが罪の意識に耐えられなくて、ある時とうとう兄に話したんです。

兄はザムさんが言っていたガイライです。

帝国直属の魔術師で、私よりはるかに優秀でした。

そして心優しかった。

兄も疑問に思ってました。

で、私が心ゆくまで解剖出来るようにと、帝国に掛け合って解剖室みたいな所を用意されました。

人間・魔物、ありとあらゆるものを解剖しましたよ。

 もう1回言うと、兄は心優しい人でした。

今の魔族領、30年くらい前までは魔物がすごい数でしてね。

帝国側になだれ込んで来るんです。

軍が防いでましたけど、毎年すごい数の死人が出まして。

兄は凄い心を痛めてました。

何で人間は弱いのか。

何で人間は寿命が短いのか。

何で人間は魔物に襲われるのか。

私のやってることが何かにつながると思ってたんでしょうね。

色々協力してくれました。

そんな時、人魚の死体が運ばれてきまして。

会ったことあるんですか?

そう、人間の言葉を話すし、人間にあまり敵意は無い奴です。

人魚は最初魔物の一種だと思ってました。

魔人の類だと。

でも人間にそんなに敵意無いし、意思疎通が出来る。

心の臓を見たら、スライムより小さい魔石がありました。

不思議でした。

 魔石って魔物の強さによって大きさが変わるんです。

強いドラゴンの魔石は大きく、弱いスライムは小さい。

でも人魚は結構強いんです。

素手で大きな船をひっくり返すくらいに。

でも、魔石は小さい。

 自分でも分からなくて兄に相談しました。

兄は目を輝かせてました。

それが人間が襲われなくなる何かのヒントになるのではと。

それから兄も研究にのめりこむ様になりました。


 マイロは一気に話すと、また唇を舐めた。

喉が渇いたのだろうと、レイは魔法袋から水を取り出しマイロに渡す。

ありがとうと言いながら水を受け取ったマイロは水をゆっくり口に含ませると、一呼吸置いて続きを話始めた。

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