8、ディーディー
レイたちが外に出ると目の前にゴツい壁があった。
「こんなとこに壁あったっけ。」
ジャミも同じことを考えている。
「何言ってる。これがディーディーだ。」
「ディーディーって何だ。」
「親父が飼ってるグレイトドラゴンだ。」
「へっ?」
思わず間抜けな声がでる。
レイが見上げるととてつもなく大きい顔がニュッと迫って来た。
「ほええあ。」
あまりの迫力に腰が抜けそうになる。
「すんごいですねえ。生きてる…いや死んでるんですけと3厄災うち2匹に会えるとは。」
ライバは純粋に喜んでいる。
フェンリルに続いてグレイトドラゴンに会えて興奮しているのだろう。
「レイさんたちはキングリッチにも会ったんですよね。いいなあ。」
モフモフだけが好きなのだと思っていたが、ライバは色んな魔物が好きらしい。
「こっこれ大丈夫なの?襲って来ない?」
ジャミは腰が抜けたのか尻もちをついている。
「ザム、もしかして。」
「これに乗って行く。」
「やっぱり。」
やはりこのグレイトドラゴンの背中に乗って行くようだ。
「フッとばされないか。」
「大丈夫だ。ディーディーは大きいかなら。」
「はあ。」
ディーディーが伏せをする。
大きな山が動いたので、強い風が土埃を巻き上げる。
黄金の背中に梯子がかけられ、順番に上っていく。
「この紐を腰にくくりつけてくれ。」
ベルトのような紐を腰にくくりつけ、レイはアトラントを振り返った。
「行ってきます。」
「お気をつけて。相手は帝国の息がかかった悪人です。」
「はい。」
ディーディーが力強く羽ばたいた。
強烈な風が周囲に広がる。
アトラントが小屋につかまってやっと立っていられるくらいだ。
ディーディーはぐんぐん上昇していく。
高い山々を見下ろすくらいの高さまで来ると、ディーディーは東に向けて一気に飛んでいった。




