6、ガイライ
レイの脳裏にポポルック族とトホス王国の人たちの顔が浮かぶ。
キングリッチが死んだことを既にマイロは知っている。
今どうなっているのか分からない。
アトラントは既に落ち着きを取り戻しており、レイたちに話し始めた。
「マイロの前にキングリッチについて教えねばならない。元は帝国お抱えの魔術師だったガイライという男だ。その男は禁忌に触れ、死体に魔石を埋め込んで魔族を作り始めた。」
「何故そんなこと。」
「理由は分からん。マイロが何か見つけたらしい。それが魔族を作るきっかけになった。マイロはガイライの年の離れた弟だ。」
唇が渇いたのかアトラントは水を少し飲んだ。
「魔族を作るには膨大な魔力が必要だ。最初はそこら辺の魔物やらで作っていたんだろう。だが、それでは弱い魔族しか作れない。」
「原始の魔族か。」
「そうだ。それが不満だったのか、ガイライは色んなことをやり始めた。魔族に更に魔力を流したり、更に大きい魔石を埋め込んだり。そして最終的に狂った。」
「唐突だな。」
「流し込む魔力が魔族の強さに関係してるとガイライは考えたようだ。自らキングリッチとなることでその問題を解決しようとした。」
「狂ってる。自分から魔物になるなんて。」
側で聞いていたジャミが呆れている。
「自らの魔力が他の人間よりも魔物よりも膨大だと分かったんだろう。自ら命を絶ってリッチ化した。」
「マイロは見張っているとかそんなところか。」
「そうだと思う。監視役だったんだろう。自分の趣味も兼ねて。」
「趣味。」
「マイロはガイライと違って平凡な男だ。元は帝国で魔物の解体をしていた。」
「解体が趣味なのか。」
「仕事兼趣味だろうな。その過程で魔族を作る何かを知ったんだろう。」
「最悪な兄弟だな。」
レイはアトラントの話を聞きながら、腰に付けていた通信袋に魔力を流した。
「ポッタ聞こえるか。」
袋の向こうからガサゴソする音と、懐かしい声が聞こえてきた。
「レイさん、お久しぶりです。色々ありがとうございます。」
「城というか町の方はどうですか。」
「おかげさまで良い感じになりましたよ。レイさんたちが作ったキッコーリ村に似てて高い防壁があるし頑丈です。」
ポッタののんびりした声にレイは少しホッとした。
トホス王国に異常は起こっていないようだ。
「でその他に何か異常な事なかったですか?特に禁足地で。」
「ゴブリンが2匹出てきましたかね。それくらいです。」
キングリッチを倒した影響か、魔物が出てくるようになったようだ。
レイはポッタに挨拶して通信袋を閉じるとアトラントを見た。
「トホス王国は大丈夫そうです。でもポポルック族までは分かりません。」
すぐに確認しに行きたいが、大陸の反対側にある禁足地までは2か月以上かかる。
どうしようかとレイが思案する中、アトラントはザムに向けて言った。
「ザム、準備しろ。ディーディーに乗って行け。」




