4、魔族の作り方
レイたちは目の前の光景に驚いて立ち尽くしたままだった。
魔族という種族はいないということを理解するのに時間がかかっている。
アトラントはレイたちを促し、地下から出た。
そして椅子に座り、続きを話し出した。
「魔族が元人間。驚かれたでしょう。魔族とは人間が人間の死体から作り出したものです。」
レイはアトラントの言葉を聞きながら頭を整理する。
確か。
確か以前魔族の死体を見た時、胸の部分に傷があるのを見たことがあった。
あの傷は魔石を体に入れ込むときに付けたものだろう。
だが、何故わざわざ人間の死体から魔族を作り出しているのか。
「何で。」
レイがやっと言葉を絞り出すと、アトラントは首を横に振った。
「作った理由は分かりません。帝国が何らかの理由で作り出しているんです。人間の新鮮な死体を使い、心の臓に魔石を縫い付け、膨大な魔力を一気に流すと魔族が完成します。」
それまで静かに話を聞いていたライバが質問する。
「でもそれは神の怒りに触れるのでは。」
「確かに。」
禁足地の遺跡でキングリッチに地球は滅びたと言われた。
もしそれが本当だとすれば、命を弄んだり作ったりしたラガッシュ帝国は、神の怒りに触れるのではないか。
ライバの質問に答えたのはアトラントではなくザムだった。
「それが俺が復讐者である理由だ。」
「理由ってお前。」
「復讐相手が神ってことだ。」
理解が追い付かない。
魔族が元人間であることに加えて、ザムの復讐相手は神だという。
「何で神だと分かるんだ。」
同じ復讐者であるレイは召喚された時、目の前に召喚前自分を殺した相手3人がいたため復讐相手が分かった。
だがザムは何で分かったのか。
その質問をぶつけるとザムは渋々といった感じで答えた。
「実はスキルを1つ隠してた。」
「『ミラー』以外にもあるんだな。」
「特殊なのが1つ。レイのスキルに似てるが。」
「言ってもらおうか。」
レイがザムを軽く睨む。
「と言っても、それほど便利なものではない。ただ復讐相手が分かるというだけだ。」
「他に隠してるもん無いか。」
ザムにはこの際、洗いざらい話してもらおう。
ザムは少し考えていたが、アトラントをちらっと見た後話始めた。




