1、襲撃
魔族が悲鳴を上げて逃げ惑っている。
女の背後から黒い鎧が切りつけている。
戦闘の意思のない女子供見境なく襲い掛かっている。
「皆、助けてくれ!」
「黒い奴?」
「そうだ。」
レイとザムは剣を抜き、駆けだした。
黒い鎧の集団の前に立ちはだかり、魔族を守るように剣を振るう。
「ホホ、黒いのを攻撃するのですね。」
「俺、ケガ人助ける。」
後れてライバとジャミが後方から動き出した。
ジャミはケガをした魔族を抱えて逃げ、ライバはそれを追おうとする黒い鎧たちを魔法で打ち倒す。
「俺たちも。」
「うん。」
「ひえええ。」
ショウダイ・アサミ・ユウナも遅れて飛び出し、3人で1人の黒い鎧と戦っている。
「大量に湧いてきてうっとおしいですねえ。」
絶え間ない攻撃に業を煮やしたライバは上空へと飛んでいき、黒い鎧たちの動きを見ている。
「あそこら辺に一発。」
黒い鎧たちの後方に上空から魔法を撃ち始めた。
徐々に敵の陣形が崩れ始める。
「レイ!皆避難させたよ!」
ジャミの報告を合図にレイとザムの攻撃は激しさを増した。
上からライバの魔法、地上ではレイとザムからの攻撃で、圧倒的に数で優位だった黒い鎧たちは後退を始めた。
突然ドンという大きな音と共に、黒い鎧たちが一斉に逃げていく。
「逃すか!」
レイとザムは追撃で逃げる敵の背後から剣を振るっている。
ライバは退路を断つため、上空から逃げる集団の戦闘に向けて魔法を撃ち続けていた。
「あっ。」
ライバが目を覆う。
強烈な光に襲われたからだ。
レイたちもあまりの眩しさに目を瞑った。
光が収まってから前方を見ると、既に敵は全員逃げた後だった。
不思議なことにレイたちが倒した敵の姿も無い。
先ほどまで血を流しながら地に伏せていたはずだ。
「レイ、ライバ、あそこ塞げないか。」
残った敵はいないかと見回すレイに、ザムが声をかける。
ザムの指さす方向を見ると、そびえ立つ山々の間に細い切れ目がある。
よく見ると人1人が通れるくらいの細い道が奥まで続いていた。
ここから黒い鎧たちが襲ってきたのだろう。
レイとライバは残った魔力を使って土魔法で壁を作っていく。
道を塞げばしばらくの間は魔族領の平和は保たれるだろう。
レイは道を塞いだ後、その場に膝をついてしまった。
ショウダイたちは既に座り込んで息が上がっている。
相当無理をしたのだろう、ザムは仰向けになって咳込んでいた。
レイたちが息を整えていると、青ざめたジャミが駆け寄って来た。
「レイ、助けて。死にそうな人がいるんだ。」
ジャミの言葉に、レイとザムは手をつきながら震える足で立ち上がった。




