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復讐者  作者: 安慶
魔族領への旅
315/421

29、切断された死体

「ゔっ。」

一目見るなりショウダイたちは鼻と口を抑えて目を逸らした。

レイとザムも鼻と口を抑えたが、切断死体を凝視している。

 血は出ていないが切断面が生々しい。

時間が経っているのか青黒い色をしている。

「レイ、魔族の死体だ。」

「え?」

 レイの考えていることが分かるかのようにザムが呟いた。

時間が経って青黒くなっているのかと思っていたが、近づいてよく見ると確かに魔族の皮膚の色とよく似ている。

「頭と胴が無いな。」

ザムは念入りに死体を調べている。

レイも入り江に浮かんでいる死体を見ると、ザムの言う通り頭や胴が無い。

切断された手や足が浮かんでいる。

「何これえ。」

「早く行こ。無理。」

アサミとユウナは一刻も早くここから逃げたいようだ。

ジャミも顔が青ざめていて死体を見ないようにしている。

「レイ、収納の魔法袋あるか。」

「はい。」

レイは収納の魔法袋をザムに渡した。

ザムは黙々と切断死体を魔法袋の中に入れていく。

 レイはさすがに手伝う気になれず、人魚に話しかけた。

「大陸から流れてくるんですか。」

「そうっちゃ。海、汚くなるっちゃ。」

「ですね。ここに流れ着いた死体は回収します。」

「やってくれい。」

「でこんなことしてる奴の情報無いですか?」

「詳しくは分からないっちゃね。あっちの方から流れてくんよ。」

人魚はラガッシュ帝国の方を指さす。

「あっちからですか。前から流れてきてたんですか。」

「月2周りくらいっちゃか。そん頃からね。」

「月2周り?」

「2か月前ってことじゃない?」

側で聞いていたジャミが通訳する。

「2か月前、帝国で何があったんだ。」

「てか、帝国と魔族の繋がりって何だろね。」

「帝国も襲われてんじゃないのか?」

「それはあるかもしれないけと多くない?」

 ジャミが指摘する通り、シュミム王国でドインが戦っていた時は大体1人、多くて3人だった。

だが、ここに浮かんでいる死体は30体以上あるだろう。

帝国は2か月で30人以上の魔族と戦ったのかと思う。

「終わったぞ。」

振り返るとザムが魔法袋を手に立っていた。

側でショウダイがえずいている。

「早かったな。」

「ショウダイが手伝ってくれたからな。」

「そうか。ショウダイありがとう。」

ショウダイは話せないらしく、右手を上げてレイの言葉に応えた。

そして猛烈な勢いで手を洗っている。

「戻って報告するか。」

「早く魔族領に行きたいんだが。」

ザムは渋い顔だ。

「そう言っても。船返さなきゃだし。」

「大丈夫っちゃ。ワシからあっこの漁師に言っとくっちゃ。」

「そうですか。お願いします。」

「気を付けるっちゃ。魔族領あたりは潮の流れ早いからね。船壊れるっちゃ。」

「ありがとうございます。行ってきます。」

 漁師たちへの連絡は人魚に任せることにする。

レイたちは船を借りっぱなしになるが、ザムに従って魔族領を目指す。

切断された死体を見て、ザムは何か焦っているようだ。

レイは気分が悪くなったショウダイと交代し、魔族領に向けて船をこぎ出した。

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