18、エル・キャット買取
町に入って宿屋を探している最中、何故か周りの視線を感じる。
「何かジロジロ見られてるな。」
「ヤな感じだよね。」
ジャミも視線に気が付いているようだ。
「宿の前に冒険者ギルドに行くか。情報あるかもしれん。」
やはり視線が気になるザムが提案する。
ジロジロみている奴を捕まえて吐かせるという手もあるが、出来る限り穏便に済ませたい。
ザムの提案を受け入れ、町の中心部近くにある冒険者ギルドへと足を運んだ。
「ご用件は。あっ。」
レイたちを見るなり受付が叫ぶ。
「何だ。」
「買取ですね。」
「いや。買取では無いんだが。」
「そうですか。高額ですよ。」
「何が。」
「エル・キャット。」
「…。」
どうやらここではエル・キャットが高額で取引されているらしい。
皆の視線がタックとフクンに集中する。
「悪いな。この2匹は俺の従魔なんだ。」
タックとフクンはイカ耳で唸っている。
「で、エル・キャットを引き渡すとどうなるんだ。」
「毛皮が高額で…。」
と受付が説明している途中、タックが魔法を撃とうとしている。
「ダメ。メッ。落ち着きなさい。」
何とかレイがなだめて制止する。
「ジャミ、頼む。」
「おっおう。」
ジャミは2匹が魔法を撃たないように抱っこした。
「で捕まった奴は。」
「いませんよ。めったに見ませんし。」
レイは内心ホッとしながらタックたちを見る。
タックとフクンはまだジャミの腕の中で唸っていた。
「でも、ここら辺で子猫を見つけたっていう情報があって、今冒険者が集まってるんです。」
「そうか。ジャミ、警戒を。」
「分かった。」
「俺も手伝おう。」
ザムはいつでも剣を抜けるように手をかけている。
「で、買取じゃなきゃ何の用で。」
受付は用が無いなら早く帰ってくれという態度で話を続けた。
レイは自分の冒険許可証を見せて、言伝などは無いか確認する。
「Bランク冒険者のレイさんですね。1件あります。セイクルズから。」
セイクルズの名前を久しぶりに聞いて、レイはドキッとした。
受付に早く言うようせっつく。
「自分たちの拠点に来てくれって。」
「どこにある?」
「封書預かってます。これ。」
受付が渡した封書をひったくるようにして受け取り、レイは中身を確認する。
この町からセイクルズの拠点までの道のりを描いた地図のようだ。
「助かった。じゃ。」
「はい。確かに渡したんで受け取りのサインを。」
レイはサインをして、足早にセイクルズの拠点へと向かった。




