12、滅亡
レイは前世で男たちに暴行されて殺された。
他の3人もそれぞれ若くして死んだのだろう。
それが幸運とはどういう皮肉か。
「知らなんだな。知らぬとは何と幸福な事か。」
キングリッチはレイたちの様子が面白いらしく、笑っている。
「お前らは…ほう、地球という名の星から来たのか。お前らが死んだ後何が起こったか教えてやろう。」
「なんなの、あんた。」
アサミが戸惑いの声を上げた。
キングリッチはレイたちの戸惑いに、声を一段と高くして話を続けた。
「カカカッ。滅びたよ。お前らが死んだ後に。」
「何で。なんで。」
ショウダイは同じ言葉を何度も呟いている。
「何でと申すか。神に抗う者たちよ。お前らがやったことが神の怒りに触れないとでも。神の御業である命の創造をしただろう。神の創造した命を弄んだだろう。不遜な連中に神の怒りが落ちるのは当然のこと。」
キングリッチは耳障りな声で笑い続ける。
レイは思考が追い付かず固まってしまった。
他の3人も同じように固まっている。
だがキングリッチの言葉に動じない男がいた。
ザムだ。
ザムはキングリッチの目の前まで歩いていくと、剣を突き付けた。
「それがどうした。どうでも良い。俺が聞きたいのは何故魔族を作ったか…だ。レイたちの元の世界と俺たち魔族と何の関係がある。」
「答えが分かってて来たのではないのか。エル・キャットにフェンリル。縁なのか運命なのか愉快なことだ。」
「何が言いたい。早く答えろ。」
苛立ちを隠せないザムをキングリッチは面白がっている。
「まあいい。そのうち分かるだろう、小僧。神の理から外れた者が3人もいるのだ。お前たちは真実にたどり着くだろう。」




