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復讐者  作者: 安慶
魔族領への旅
297/421

11、キングリッチ

 その魔物はオーガくらいの大きさがある半透明の骸骨で、王冠を被り黒いローブを身にまとっている。

落ちくぼんだ目を見たショウダイたちは、ガチガチと歯を鳴らし固まってしまった。

レイの傍らにいるアレスは唸り声を上げている。

「ジャミ、後ろに下がれ。タックとフクンを頼む。」

「ふえええええ。」

悲鳴で返事をしながらジャミが後ろに逃げてきた。

タックとフクンを抱きかかえて、いつでも逃げられるようにしている。

「いつも通りだ。危険になったら3匹と一緒に逃げろ。」

「ふぁい。」

ジャミの情けない返事を聞いて、武器を構えなおす。

「矮小な人間よ。我に何の用だ。」

気だるそうに言う魔物にザムが近づく。

「3厄災の1柱、キングリッチともあろう者が情けないな。」

「生意気な若造が。我を嘲笑しに来たのか。」

「聞きたいことがある。」

「何だ。暇を持て余している所だ。聞いてやろう。」

「何故魔族を作った。」

「え?」

レイはザムの話に驚く。

ザムに話しかけようとするが、ザムは他が一切見えていないようでキングリッチに集中している。

今は黙っている方が良いだろう。

レイはキングリッチの方に向き直った。

「そんなくだらん話でここまで来たのか。」

キングリッチは再びカカカと笑っている。

「珍しい連中が来たと思ったら。くだらんことを聞く。そんなことも分からんか、小僧。」

「何っ。」

いつも冷静で穏やかなザムが珍しく声を荒げている。

「実に面白いな。まあここまで来たのだ。暇つぶしに面白いことを教えてやろう。お前たちは分かってないようだからな。」

「何だ。」

キングリッチはザムの問いを無視してレイたちの方を向いた。

ショウダイたちはビクッとする。

「自分を不幸と思っている異世界から来た若者たちよ。お前たちは幸運だったのだ。」

「何!」

 今度はレイが声を荒げた。

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