11、キングリッチ
その魔物はオーガくらいの大きさがある半透明の骸骨で、王冠を被り黒いローブを身にまとっている。
落ちくぼんだ目を見たショウダイたちは、ガチガチと歯を鳴らし固まってしまった。
レイの傍らにいるアレスは唸り声を上げている。
「ジャミ、後ろに下がれ。タックとフクンを頼む。」
「ふえええええ。」
悲鳴で返事をしながらジャミが後ろに逃げてきた。
タックとフクンを抱きかかえて、いつでも逃げられるようにしている。
「いつも通りだ。危険になったら3匹と一緒に逃げろ。」
「ふぁい。」
ジャミの情けない返事を聞いて、武器を構えなおす。
「矮小な人間よ。我に何の用だ。」
気だるそうに言う魔物にザムが近づく。
「3厄災の1柱、キングリッチともあろう者が情けないな。」
「生意気な若造が。我を嘲笑しに来たのか。」
「聞きたいことがある。」
「何だ。暇を持て余している所だ。聞いてやろう。」
「何故魔族を作った。」
「え?」
レイはザムの話に驚く。
ザムに話しかけようとするが、ザムは他が一切見えていないようでキングリッチに集中している。
今は黙っている方が良いだろう。
レイはキングリッチの方に向き直った。
「そんなくだらん話でここまで来たのか。」
キングリッチは再びカカカと笑っている。
「珍しい連中が来たと思ったら。くだらんことを聞く。そんなことも分からんか、小僧。」
「何っ。」
いつも冷静で穏やかなザムが珍しく声を荒げている。
「実に面白いな。まあここまで来たのだ。暇つぶしに面白いことを教えてやろう。お前たちは分かってないようだからな。」
「何だ。」
キングリッチはザムの問いを無視してレイたちの方を向いた。
ショウダイたちはビクッとする。
「自分を不幸と思っている異世界から来た若者たちよ。お前たちは幸運だったのだ。」
「何!」
今度はレイが声を荒げた。




