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復讐者  作者: 安慶
魔族領への旅
291/421

5、包囲

「本当に行くんですか。」

ポッタが不安そうにソワソワしている。

レイは黙ってザムを見た。

ザムは力強く頷いている。

「はい。いざとなったら転移の魔法陣使います。」

レイの家には空いている転移魔法陣が1つある。

もしもの時はその魔法陣を使おうと心に決めた。

 ポッタたちに手を振り、禁足地へと足を踏み入れた。

トホス王国に生えている木は細くあまり生えていなかったが、禁足地の中は木が鬱蒼と生えている。

「別世界だな。」

木を見上げながらレイが呟いた。

「ジャミ、警戒を怠るな。」

「へいへい。」

ジャミもザムもレイの奴隷だが、既に優劣が付いているようだ。

何故か先輩のジャミが下で、ザムの指示に従っている。

「ん?」

しばらく歩いていると、ジャミが立ち止まって警戒し始めた。

「何かあったのか。」

「誰か…いる。」

「やだあ、どうしよう。」

「構えて。」

「やだあ。付いて来たくなかったあ。」

アサミは既に泣きそうになっている。

 レイは指を口に当てアサミに黙るように伝える。

6人は武器を構え、ジャミを先頭に静かに歩いていた。

その後ろを吞気そうに3匹が歩いていく。

「キャアア。」

不意にユウナが悲鳴を上げた。

ユウナの悲鳴が森に響き渡る。

「どうした。」

「何か踏んだ。何か踏んだ。やわいやつ。キモイ。」

ユウナが右足を必死に振っている。

「何でもない。前を見ろ。」

「もうヤダあ。かえるウ。」

最後尾のザムの言葉にユウナは半泣きだ。

「ちょっと。」

先頭をあるくジャミの声が焦っている。

「どうした、ジャミ。」

「囲まれた。」

ジャミが小さく上を指さした。

 レイが上を見ると、小人が木にしがみつき弓矢でレイたちを狙っていた。

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