表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐者  作者: 安慶
魔族領への旅
289/421

3、再会を祝して

「そうですか。マールさんもキッコーリさんも亡くなりましたか。」

ポッタが酒をあおりながら悲しそうに言った。

「マールさんにはお世話になりましたからね。憎まれ口をたたく仲でしたが。」

「そうだったな。」

レイは昔を懐かしむ。

ポッタはマールからボッタクリ商人だと悪態をつかれていたが、悪人ではない。

誠実に基本に則って商売をしていたし、何よりもキッコーリ村ではポッタが自分の商売道具を提供しなかったら、オークの軍勢に負けていたかもしれない。

その上シュミム王国内での奴隷売買の時は大変世話になった。

レイにとっては恩人である。

「大領主たちも亡くなりましたか。アウド様は。」

ポッタは少し喉を詰まらせながら話を続けた。

「皆さんにとっては女狐・守銭奴でしょうが、私にとっては良い人でしたよ。店を開く際はお力を貸していただきました。」

おそらくポッタの言うことも事実なのだろう。

そうでなければアウドの町は発展していないはずだ。

人によって立場によって、悪人にも善人にもなる人は多い。

アウドたちにとっては、レイは悪人なのであろう。

「しかし、タダで泊って良いのか。」

「良いですよ。お客様用の布団も無いような所です。お金をもらうなんてとんでもない。」

 レイたちが今いる所は、トホス王国の城だ。

城といっても土と木で出来た粗末な作りの大きな家で、そこに国民全員で住んでいる。

一応国民の暮らす部屋は個室となっており離れもあるのだが、風呂は無く、外で食事を作っている。

見かねたレイが土魔法で台所と風呂場を作ると、国王以下全国民から感謝されてしまった。

全国民といっても50人ほどしかいない。

明日の朝、城全体を補強しようと思っている。

「でレイさんたちはこんな辺鄙なところに何故。」

ガラガラ声で上機嫌な国王が尋ねた。

酒を飲むのは久しぶりだという。

「そうですね。皆ここ通りませんしね。」

ムカウも不思議そうだ。

 レイは返事に困りザムを見た。

この国に来ることを決めたのはザムだ。

ザムは持っていた皿を床に置くと、ポッタたちに言った。

「禁足地に行く。」

「正気ですか!」

驚いた国王が立ち上がり、周囲が騒然となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ