7、ライバとの従魔契約
従魔契約を望むライバに対して、レイは躊躇した。
その気持ちを見透かしたかのように、ライバは話を続ける。
「あなたが可哀そうだからと奴隷にした人たちと一緒です。私を助けると思って。もう死んでますけど。」
「でも。」
「そうしないと私の知性が無くなったら手遅れです。そうなったら私を倒すしかなくなる。すぐに。是非お願いします。」
ライバに懇願されてレイは渋々頷いた。
魔法袋の中に放り込んでいた従魔用の首輪をライバにつけて魔力を流す。
ライバは嬉しそうだ。
「ありがとうございます。正式な契約は後ほど。」
「従魔紋描けるのか?」
よく見るとライバの体もわずかに揺らめいていて実体が無いようだ。
「大丈夫ですよ。魔力による契約は、実体が無くても出来るはずです。」
後でマールにお願いして奴隷紋による契約を行うつもりだ。
周囲にドラゴンはいないようだが生き残った魔族がどこにいるか分からない。
安全のためにレイたちはライバと旅人たちを連れて一旦タリカ領に戻ることになった。
「あなた…。」
「父様。父様。」
妻カウミと息子のライルがライバの姿を見て泣き崩れる。
「ゴメンな。父さんこんななっちゃった。」
ライバは2人を優しく抱きしめ、振り返った。
「レイさん。お願いがあります。従魔になってながら申し訳ないのですが。少しだけ。少しだけ、家族と一緒にいさせてもらえませんか。」
「良いよ。こっちからもお願いがある。」
「何でしょう。」
「まだ魔族が残ってるか分からないんだ。俺たちはシュミム王国の中で魔族を探してる。そのあいだ砦が襲われないように、ジャイルたちと一緒に砦の警戒にあたって欲しい。」
「分かりました。お安い御用です。」
ライバは2人を抱きかかえ、砦へと向かって行く。
シュミム王国は、王族も大領主もいなくなってしまった。
これからどうなるのかとレイが思案していると、砦の警備を終えたトムが近づいてきた。
「レイさん、疲れてますね。探索交代しますか?」
「いや、いい。今日は生存者を見つけたんだ。まだいるかもしれない。」
「良かった。お互いあともうひと踏ん張りってとこですね。」
「ああ。帰るか。」
「そうですね。帰って酒飲みましょう。話聞きます。」
2人は連れ立ってマールの待つ家へと帰っていった。




