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復讐者  作者: 安慶
人魔戦争
263/421

37、死闘

「急ごう。」

ロックの掛け声に速度を上げる。

魔族側軍勢の最奥、残る1人の魔族がいる所にたどり着いたレイたちが見たのは、今にも事切れそうなドインの姿だった。

「ドイン!」

ロックが駆け寄ろうとするが、ドインの側にいる魔族が近づかせまいと剣を振りかざす。

致命傷を負ったドインに比べ、魔族は傷を負っていない。

「骨折れましたよ、全く。」

魔族は細身の剣をロックに向けた。

それを合図にロックが魔族に切りかかった。

だがロックの鋭い剣を魔族はわずかな動きでかわし、隙をみて斬撃を繰り出す。

みるみるうちにロックの体が傷ついていく。

「あれは。」

魔族のその動きをレイは以前見たことがある。

ジャイルだ。

 今ロックと戦っている魔族の動きはジャイルに似ている。

一切の無駄が無く、一切の力みも見られない。

 ジャイルと同じ動きを見て一瞬躊躇したレイだったが、トムとゴザが加勢しようとするのを見て遅れて飛び出した。

四方から一斉に切りかかるが全ての攻撃が弾かれ、大したダメージが入らない。

タイミングを見てアレスも攻撃に加わるが、軽くかわされてしまう。

「フェンリルか。珍しいな。」

アレスを見て感想を漏らすほど魔族は余裕を見せている。

 一方レイたちには焦りの色が見られる。

魔族だけではなく周囲にいたオーガたちも襲い掛かって来た。

 トム・ゴザ・アレスはオーガたちの攻撃を食い止めようと、魔族への攻撃を止めた。

するとまたロックに対する魔族の攻撃が激しくなり、ロックは直ぐにでも倒れそうだ。

「ロック!」

レイが攻撃を激しく繰り出すが、魔族にかすり傷程度のダメージしか与えられない。

(落ち着け。落ち着け。)

 レイは無理やり深呼吸する。

ジャイルはどんな動きをしていた。

ハリナは何と言っていた。

教わり始めた頃はチグハグな動きをしていたが、毎日練習する中で「段々形になってますよ。」とハリナに言われるようになった。

(思い出せ。力むな。)

 ジャイルの動きを思い出しながら、魔族への攻撃を繰り出していく。

今そんなことを思い出している状況では無いはずだが、レイはそうしなければ勝てないような気がしていた。

「メガヒール!」

 後ろからサクソウの声が聞こえてきた。

サクソウが前線近くにいるということは、ドラゴンを全て倒したのだろう。

オーガの数も減っているはずだ。

目の前の魔族を倒せば勝利が確信できる。

ロックも回復して攻撃に加わった。

 だが。

目の前の魔族は全く疲れていない。

それどころか先ほどから攻撃が激しくなってきている。

「まあ、何とか形にしてますが、まだまだですね。あの方と比べたらねえ。」

何故か笑みを浮かべながら魔族はレイの攻撃をかわしている。

「レイ!ロック!」

周囲のオーガを全て倒したのか、再びトムとゴザが攻撃に加わった。

「さすがに4人相手は疲れますね。じゃあ。」

その魔族の言葉に反応しようとしたときには既に遅かった。

トム・ロック・ゴザが一気に切り飛ばされる。

数十メートル後方に飛ばされた3人を見て魔族は微笑んだ。

「あとはあなただけですね。じゃ、始めましょうか。」

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