24.村防衛に向けて
ハイオークを倒しエル・キャットを保護した次の日、大勢の村人が門の前に集まっていた。
村長から説明を受け、皆引き締まった顔をしている。
キッコンは王都から戻ってきており、オシュ王都管理長の代理から早急に対処するとの返事をもらっていたが、何もせずに王都からの討伐隊を待っていることは出来ない。
村防衛に向けて村長が提案したのが、村を取り囲む防壁と門の建築だ。今は簡素な木で出来た柵と門で、オークに集団で襲われたらひとたまりもない。
巨木を切り倒しそれを基礎として、近くの岩山から石を切り出してきて基礎に沿って積み上げる。
シンプルだが今できる最善の策だと村長は言う。
レイとトムでさえ、1体倒すのに手こずるハイオークだ。複数体現れたりさらに上位種が現れたら村の誰も太刀打ちできない。
幸い今年の税金としての木は既に国へ納めている。
村周りの地形を考慮して、防壁を作る場所を決めていく。
村は少し高台に建っており、防壁を最大限生かすためには、今の5倍の面積を取り囲むように作らねばならない。
監視塔や堀も作りたいとして設計図が作成され、各自の分担も決まっていく。
門に集まる前、家で留守番しているようにタックとフクンに言ったが、
「やにゃ。暇だもん。」
と言って、レイに付いてきた。
村の周りに各自散らばり、作業が開始された。
木を切り倒す役割はレイとトムだ。2人の持つ武器は非常に有効で、ミスリル製の斧で何人もが交代で切っていた木を2人の武器は難なく切り倒していく。
レイが切る場所に目印となる傷をつけ、トムが一気に切り倒していく。
さすがのハルバード。2回ほど叩き込むと太い幹の巨木が倒れていく。
レイの背中でその様子を見ていた2匹の黒猫は、
「人間はメンドクサイことするにゃ。」「にゃにゃ。」
と言いながらしっぽでレイの背中を叩いた。
「そんなこと言ったってなあ。」
レイがぼやくと、
「ちょっと見てるにゃ。」
そう言って、2匹の黒猫はしたっと地面に降りた。




