23.エル・キャットの不思議な生態
今日から行動しようという意気込むレイとトムに、疲れているだろうから明日から始めてくれと村長は言った。そして、
「エル・キャットとは珍しい。」
2人の背中を不思議そうに見つめながら言った。
聞くとエル・キャットは不思議な魔物で、生態もあまりよく分かっていないらしい。魔力が高く人語も理解するため魔族だという人もいれば、毛がフカフカだから魔獣という人もいる。爪や牙はミスリルよりも強度で、生きている姿を見た人はほとんどおらず、死体を見た人は皆無だそうだ。毛皮を手に入れようと画策して国が滅んだという昔話まである。
2人は森で見たことを話そうかどうか迷っていたが、何となく話さないでおこうかと顔を見合わせて頷いた。
「村の中で飼うのはいいが、従魔契約をするか従魔の首輪をしてくれ。」
そう言われ、村長の家を出て従魔契約をするためにギルドへと向かった。
ギルドへと向かう途中2匹が起きて、「じいちゃん。じいちゃん。」と泣き始めて切なくなった。あやしながらギルドへ向かったが、2匹の魔力が高すぎて契約を結べず、おんぶしながら家に帰った。
マールから、「また変なもん拾ってきて。」と怒られたが、謝り倒すと渋々飼うことを了承してくれた。2匹に従魔用の首輪をしようとすると、
「いやなぁあ。首がウニウニするにゃ。」と言われたが、
森が危ないから村にいてほしいこと、村にいるためには首輪をするしかないことを説明し、ピンクと水色の首輪を付けることに成功した。
レイはピンクの首輪で尾の短い男の子にタック、水色の首輪で尾の長い女の子にフクンと名付けた。
トムは「ネーミングセンスが最悪。」と思ったが、平和をこよなく愛する大柄なこの男は、黙っていることにした。




