54、トムVS
地響きと共にトムが敵陣地を突き進む。
ほとんどの兵がリザートホーズに蹴り殺され、かろうじて避けられた兵はハルバードの餌食になった。
かつての教官とCランク冒険者の姿を捉えると、トムはハルバードを振りかぶる。
Cランク冒険者の胴を易々と切り裂いたハルバードは、勢いそのまま元教官の大剣とぶつかった。
お互いミスリル合金の武器だが、力で押しつぶそうとするトムに耐えかねた元教官が叫ぶ。
「加勢しろ!」
トムの周囲から兵たちが一斉に切りかかるが、
「おっとお!」
「させませんよ。」
ロックとゴザが蹴散らしていく。
「お久しぶりですねっ。」
笑顔のトムは軽々と元教官の大剣を弾き飛ばし、ハルバードの先で胸を貫いた。
ゆっくりと倒れる元教官からハルバードを引き抜き、敵陣地への奥へと突進する。
「お前ら!陣形崩すな!」
必死の形相で剣を構える騎士団長の目前にトムが迫る。
「うおおおおおお。」
武装したリザートホーズに乗った大男に、周囲の兵は逃げ出していく。
「お前ごときがっ。」
威勢よくトムに対峙する騎士団長だが、体が動くよりも先にハルバードが脳天から直撃した。
倒れこむ騎士団長の頭を鷲掴みにすると、トムは高らかに叫んだ。
「うおおおおおお!騎士団長の首取ったぞおおおおお!」
騎士団長の死体を高々と掲げるトムに恐れをなしたシュミム王国の兵たちが散り散りに逃げていく。
「逃げるなあ!殺すぞ。投降する奴は跪け!」
ロックの言葉に次々と兵が投降する中、トムは砦の方を振り返った。
「レイさん。こっちは大丈夫です。」
逃亡する兵を逃すまいと、トムは手綱を握りなおして駆けて行った。




