24、エラの水車
エラが部屋に籠って何かを作っている。
時々スミスと何かを話していて、大量のミスリルを使い模型を作っていた。
すぐ夢中になる2人のため、食事を部屋に運び作業に集中してもらう。
「出来た!」
3日間制作を続けていたエラが部屋から飛び出してくる。
「見てください!レイさん!」
両手で大切そうに模型を抱えている。
エラは机の上に模型を置き、水路に見立てた細い管に水を注ぐ。
その水が流れていくとため池の直前にある羽が付いた円状の物体に水が当たり物体を動かす。
その物体から出ている歯車の付いた軸がポンプを動かして、管を通って上へと押し上げていく。
「水車か。」
「水車っていうんですか?これで上に水くみ上げられます。」
エラがニカっと笑う。
「早速作るか。」
「そうですね。魔石で動力を安定させると良いかもです。」
「じゃ、最初から魔石で良いんじゃね。」
ジャミが横から会話に加わった。
「動力全部に魔石使うとすんごい使うんですよ。」
エラは反対のようだ。
魔物から取れる魔石は、様々な用途に使われる。
お湯を温めたり明かりをつけたりする時に魔石を使うのだが、大量の水をくみ上げるとなると大量の魔石を使うことになる。
動力を安定させるためだけに使う方が効率いいとエラは考えたのだ。
「あとはため池を大きくして、水車と一緒に建物の中に入れるか。」
「その方が良いです。水が減らないし汚くならないので。」
1週間ほどかけて水車とため池用の建物を作り、レイの土魔法で大きくて深いため池を建物の中に作った。
水車を完成させて水を流すと、クルクルと水車が勢いよく回る。
宿屋の最上階で水が来るのを待っていたトムが窓から身を乗り出して大きな丸を作っているのを見て、レイたちは歓声を上げた。




