11、人が足りない
レイたちはキッコーリ村の外壁と建物を作り、1か月半ぶりにタリカの町に帰ってきた。
「お帰りにゃリーン。」
「レーイー。」
「クフーン。」
3匹が駆け寄ってくる。
3匹を体のあちこちに引っ付けながら、レイはトムを探した。
「お帰んなさい。」
疲れた顔をしたトムが出迎える。
「どうした。疲れてるな。」
「実はですね。」
トムが話始める。
レイたちがキッコーリ村に発った後、タリカの町ではトムとロックウッドの面々が管理していた。
5つあるダンジョンにいる魔物の間引き、素材等の採集、国境の砦を行き来する人の対応など、やることが多すぎて毎日ヘトヘトらしい。
「ちょっかい出してくる奴がいるのか。」
レイが眉をひそめる。
「ちょっかいというか、荒れ地に突然でっかい建物が出来たら驚くでしょ。毎日質問攻めですよ。」
疲れて床にドカっと座ったトムが答える。
どうやって荒れ地に建物を作ったのか、あのダンジョンは何だ俺達でも入れるのか、何で奴隷ばっかりいるんだ…と商人やら冒険者から質問されるらしい。
トムたちだけではなく、タリカをはじめとして国境砦の兵士やカンタも対応しているが、物珍しい建物やダンジョンに入ろうとする輩や、居座ろうとする輩も多いようだ。
今は建物だけではなく、ダンジョンの入り口にも扉を付け、見張りを立てている。
「すまない。ほとんどの奴隷を連れて行ったから。」
「いいんすよ。それでキッコーリの村が広くなったんでしょ。」
仕方がないことだとトムは言うが、直ぐにキングウルフの住処を整えるためライバの町に行かなければならない。
「人増やすこと考えないとな。」
レイは腕組みしながら考える。
「そうっすね。どんな人を受け入れるか、どうやって受け入れるか、色々決めなきゃですね。」
とうとう寝転んで大きく伸びをしたトムはイビキをかきながら眠り始めた。




