8、岩ダンジョン
岩山の側面に野良ダンジョン特有の黒い穴がポッカリと開いている。
「ここですか。」
「そうだ。」
ウルフたちと共に、穴の中へと入っていく。
ゴツゴツとした岩肌で通路が一直線に奥まで続いている。
「ジャミ、先行ってくれ。」
「何で俺なんだよ。師匠いるだろ。」
「ミナ、最後尾頼む。」
「あい。」
先頭にジャミとゴザとキングウルフ、最後尾をミナとレイとロックが警戒しながら進んでいく。
「どんな魔物ですかね。」
魔物が出てこず、レイはかなり気になっていた。
「さあな。どのくらいの階層かも分らんな。」
ロックも首をかしげる。
「ここまで出てこないことあるんだね。」
ミナは周囲をキョロキョロしていた。
30分ほど歩いただろうか、広い空間へと出た。
そこには天井に頭がつきそうなほどのゴ-レムが3体いて、レイたちが入った途端襲い掛かってきた。
「かってえ。」
ゴーレムの足を切りつけたチルが、あまりの硬さにのけぞる。
見るとミスリル合金製の剣がボロボロだ。
「レイ、魔法に切り替えろ。」
「OK。」
レイとレシーアの魔法中心の攻撃に切り替えるよう、ロックが指示を出す。
魔法が使える4人が後方から撃ち、使えない4人は攻撃がレイたちに当たらないように前方を守る。
「風魔法いくわよ。」
「OK。」
レイとレシーアがゴーレムの頭部を狙い、風魔法を放っていく。
サクソウとチルもそれぞれゴーレムの動きを止めようと、体の中心を狙って火魔法を撃っていた。
ゴーレムの力は強いが動きが鈍く、攻撃を躱しながらダメージを与え、レイはようやく1体を倒した。
8人で2体目を倒した後キングウルフたちの様子を見ると、残り1体を倒し何やら寛いでいる。
「ようやく終わったか。」
寝そべっていたキングウルフがのっそりと立ち上がった。
「もう倒したのか。」
「風魔法は得意でな。」
「魔法使えるのか。」
「当たり前だろ。」
レイは驚いたためか、うっかり口を滑らしてしまった。
「アレスが攻撃魔法使えないから、ウルフは使えないかと思った。」
「何!」
キングウルフはワナワナと下を向いて震えている。
「レイよ。早いうちに愚息を我の所に連れてくるのだ。」
キングウルフの怒りに満ちた目を見ながら、レイは口を滑らせたことを後悔した。




